Q2. 国土地理院のSAR事業についての質問

Q2-1.使用しているデータは何ですか?

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」の合成開口レーダー(PALSAR-2)のデータを使用しています。
また、地形に起因した干渉縞(地形縞)を除去するために、基盤地図情報 数値標高モデル 10mメッシュ(標高)と日本のジオイド2000を組み合わせて作成した楕円体高モデルを使用しています。
さらに、大気中の水蒸気による影響等を除去するために、気象庁から提供されている「日本域の数値予報格子点データ」及び国土地理院のGNSS連続観測システム(GEONET: GNSS Earth Observation Network System)のデータを使用しています。

Q2-2.どんな電波を使っているのですか?

人工衛星搭載のSARではマイクロ波と呼ばれる比較的短い波長の電波が用いられます。その中でも、Xバンド(波長約3cm)、Cバンド(波長約6cm)、Lバンド(波長約24cm)がよく用いられます。 だいち2号は、Lバンドの電波を用いています。

Q2-3.Lバンドにはどのような特徴がありますか?

地表変動検出の分解能は電波の波長が短いほど高くなります。 一方で、干渉のしかたは波長が短いほど良いというわけではありません。 Cバンドより短い波長では樹木などの植生の透過性が悪くなるためです。
Lバンドのように波長が比較的長い電波は、森林地域において枝葉を透過し、幹や地表面で反射します。 よって、日本のような森林地域が多い国であっても高い干渉性を得ることができるという特徴があります。 電波の透過性は繁茂の状態や密集度の影響を受けるので、植物の生長に対応した色の揺らぎが表れることがあります。

Q2-4.干渉SARによる変動の計測精度はどれぐらいですか?

一般的には数センチメートル(概ね3cm)程度の精度とされています。
観測データには、観測時の大気の影響等によって、様々な誤差が含まれているため、すべてのSAR干渉画像が同じ精度を持っているわけではありません。 また、同じSAR干渉画像でも、地域によっては上記の一般的な精度よりもさらに大きい誤差を含む場合もあります(誤差については Q4. SAR干渉画像に含まれる誤差についての質問 参照)。

Q2-5.だいち2号の今後観測される場所と時期を知りたいです。観測スケジュールはどのように決められていますか?

だいち2号は、JAXAと関係する機関との調整によって決められた基本観測シナリオに基づいて、国土を網羅的に、同一地域を年6回以上観測します。
だいち2号で観測される場所と時期は、JAXAのホームページで確認できます。

基本観測モード表:

南行軌道(Descending): 北行軌道(Ascending) :

Q2-6.国土地理院の干渉SARの解析は、どのくらいの頻度で行っていますか?

国土地理院の干渉SARの解析には【全国定常解析】と【緊急解析】があります。それぞれの解析方針は以下の通りです。

【全国定常解析】

  • だいち2号の基本観測シナリオ(※)に基づいて国土を網羅的に観測したデータを解析します。解析の対象範囲は日本国土全域です。解析の頻度は、同一地域について年6回以上です。
    ※だいち2号の基本観測シナリオは、JAXAのホームページで確認できます。
    http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS-2/obs/jpal2_j-cycle.htm(新規ウィンドウ表示)

【緊急解析】

  • 全国定常解析以外の解析です。JAXAでは、地震や火山活動などの災害発生時や発生するおそれがある場合に緊急観測を行います。緊急観測の頻度は事案の切迫性や必要性を勘案して決定され、最高1日2回まで観測することができます。国土地理院では、このような観測に対して臨時的に解析します。

Q2-7.陸域の火山を全て監視しているのですか?

陸域の火山のうち、陸域面積が2.5km²以上のものを干渉SARの監視対象にしています。 対象外の火山は、離島で面積が小さく、解析と変動の判定が困難な火山です。

例)※地理院地図による閲覧(新規ウィンドウ表示)

Q2-8.国土地理院のウェブサイト「地理院地図」でSAR干渉画像は閲覧できますか?

国土地理院のウェブサイト「地理院地図」では、災害対応情報として公表したSAR干渉画像が閲覧できます。

地理院地図:https://maps.gsi.go.jp(新規ウィンドウ表示)

※地理院地図の操作は、以下のマニュアルをご覧ください。
 地理院地図操作マニュアル:https://maps.gsi.go.jp/help/pdf/GSIMaps.pdf(PDF形式:4.83MB)(新規ウィンドウ表示)

Q2-9.全国定常解析の2時期の解析の期間はどのような間隔ですか?

全国定常解析では解析の頻度は年6回以上(Q2-5. 参照)です。ただし、基本観測シナリオでは等間隔で観測されないため、解析期間は一定ではありません。
高分解能モードでは、解析期間として短期と長期の2つの期間を設定しています。 短期の場合、基本的に観測日が近いデータで解析します。 長期は全国的に雪が無くなる夏季同士の約1年間のデータで解析します。
広域観測モードの解析は、だいち2号が打ちあがった2014年から2016年までは短期間の解析のみを行っておりました。 2017年以降は1年間の長期間の解析を行っています。

Q2-10.左向観測(DL、AL)は災害時以外には行われないのですか?

基本観測は通常、右向(R)観測で行います。
左向(L)観測は、災害時の緊急観測やそのベースとなる観測(災害ベースマップという)でのみ行われます。

Q2-11.緊急解析はどのような場合に行うのですか?

緊急解析は、主に災害対応の一環として行っています。 災害発生もしくは発生が見込まれる場合に、地震WG(※1)や火山WG(※2)からJAXAに緊急観測要求が出されます。緊急観測が実施された場合、国土地理院は速やかに緊急解析を行い、地表面の変動を把握します。 緊急観測の要請にあたっては、被災範囲、被害、変動量を把握しながら迅速かつ有効な検出ができるよう考慮し観測条件を検討します。

※1 地震WG:地震予知連絡会SAR解析ワーキンググループ(新規ウィンドウ表示)
※2 火山WG:火山噴火予知連絡会衛星解析グループ(新規ウィンドウ表示)

Q2-12.高分解能モード、広域観測モードの違いは何ですか?

高分解能モードは高分解能で狭い範囲を観測するモード、広域観測モードは低分解能で広い範囲を観測するモードです。 だいち2号には様々な観測モードがありますが、国土地理院のSAR干渉解析の対象となる主な観測モード・観測幅と干渉画像の画素寸法(1ピクセルの大きさ)の対応関係は次のとおりです。
観測モード 記号 観測幅 干渉画像画素寸法
(1ピクセルの大きさ)
高分解能[3m]モード U 約50km 約11m
高分解能[6m]モード H 約50km 約28m
広域観測[100m]モード W 約350km 約35m
SAR干渉画像の干渉画像画素寸法(1ピクセルの大きさ)は、通常、SAR干渉解析の過程で元々のSAR画像の分解能より数倍大きくなります。 「だいち2号」による高分解能モードの干渉画像画素寸法(1ピクセルの大きさ)は約11mです。
観測モードによって1ピクセルの大きさが異なるため、系統的な色の変化として捉えられる変動のスケールに違いが出てきます(Q3-5. 参照)。 変動の検出は、高分解能モードで行っています。
なお、「だいち」によるSAR干渉画像の1ピクセルの大きさは約50mです。

Q2-13.使用している解析ソフトウェアは何ですか?また、解析ソフトウェアは提供可能ですか?

国土地理院が独自に開発した解析ソフトウェアを使用しています。これらの一般への公開・提供は行っておりません。

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