最終更新日:2024年3月1日

水準点の役割

公共工事等の高さの基準

水準点は、河川や道路、港湾、下水道、鉄道等の正確な高さの値が必要な工事で、測量の基準として用いられています。
水準点から工事対象物の高さを求める様子

地盤沈下調査

地下水のくみ上げ等で地盤が沈下する現象が見られることがあります。地盤沈下が発生すると、建物等構造物への被害、土地の低地化による浸水被害など、生活環境へ様々な影響を与えることから、高さの変化(沈下量)を正確に把握することが必要です。

例えば、利根川中流部では地盤の変動を調査するために繰り返し水準測量を実施しており、長期間にわたって沈下し続けていることがわかります。

地盤沈下調査画像
地盤沈下調査グラフ
(図はいずれも関東地区地盤沈下調査測量協議会(事務局:国土地理院)の資料より転載)

被災地復興

大地震の発生後や火山活動後には、土地の異常な隆起や沈下現象が見られることがあります。国土地理院が維持管理をする水準点は、復興のための各種事業において高さの基準となります。発災後すみやかに水準測量を行い、水準点(土地)の高さを測ることで、被災地復興に役立てられています。
宮城県本吉郡南三陸町水準測量
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後に被災地域で水準測量を実施しました。
(写真は宮城県本吉郡南三陸町における観測風景)

地震防災のための地殻変動の把握

海沿いの海溝型地震発生が危惧されている地域では、海側のプレートの沈み込みに伴う沈降現象が見られることがあります。

これは地震発生のためのエネルギーを蓄えている過程の現象と考えられており、水準測量の継続的な観測を実施して上下地殻変動を詳細に把握することで、地震の発生過程や規模の推定などに役立てています。これらは地震に関する学術的検討のための資料となり、地震防災に役立てられています。

南海トラフでは巨大海溝型地震である東海・東南海・南海地震の発生が懸念されており、水準測量により詳細な地殻変動の把握を行っています。東海地震の発生が危惧されている静岡県御前崎市周辺では継続的な観測を実施しており、海側地域の沈降が観測されています。

水準測量の結果から静岡県御前崎周辺の沈降が確認されている