三角点の測量方法
三角点の測量方法として現在一般的な方法は、GNSS測量機又はトータルステーションを用いた多角測量方式です。近代的な測量が開始された明治時代には三角測量が行われ、その後距離を測る測量機器が発達したことから三辺測量が行われました。
多角測量法式多角測量方式は、位置の分かっている点(既知点)から、位置を求めたい点(求点)までの距離と角度を測定して、求点の位置を求める測量方式です。複数の既知点を使用して求点の測量を行うことで、精密に求点の位置を求めることができるほか、精度の点検をすることができます。
そのため、現在の三角点の測量では、既知点を複数使用した多角測量方式が一般的に用いられます。また、使用される測量機器は、GNSS測量機やトータルステーションが主流です。 GNSS測量機
GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)は、GPS、準天頂衛星(QZSS)、GLONASS、Galileo等の衛星測位システムの総称です。
GNSS測量機は、地球を周回するGNSS衛星から送られる電波を利用して、座標を求める高精度な測量機器です。測点に据え付けた受信機で上空からの電波を受信するだけなので、以前の測量のように、測点間の視通の確保が不要で、天候の良し悪しに大きな影響を受けることなく測量が実施できます。 GNSS測量機は3次元の高精度な測量が可能であり、測量作業の効率化が図れるため、現在の測地測量では主流になっています。 トータルステーション
トータルステーションとは、距離を測る測距儀と角度を測るセオドライドがひとつになったものです。光波を利用して測定するため、測点間の視通確保が必要ですが、距離と角度が同時に測定することができる測量機器です。現在の測量では、主に点間距離が短い場合などに使用されます。
三辺測量(過去の測量方法)
1970年代になると、光などを利用して距離を測ることができる測距儀が実用化されました。 三辺測量では、三角網の各辺の距離を正確に測ることにより、三角点の位置を正確に求めます。三角測量が三角形の角度を測るのに対し、三角形の各辺を測ることからこう呼ばれています。主に一~三等三角点の改測に使用されました。 測距儀
光や電波を用いて距離を測る測量機器です。測距儀からミラーまでの距離を測定できます。
三角測量(過去の測量方法)
明治時代に距離を正確に測る方法は、巻き尺しかありませんでした。3km~10km離れた平坦な場所にある2点間の距離を正確に測り、もう1点を加えて三角形を作り、三角形の内角を測ります。この1辺と内角から三角形の大きさと形を計算で求めます。さらに点を増やして三角形の内角を測ります。こうして三角形の網を作り、三角形の各点の位置を求めていくのが三角測量です。 三角形の内角を測る観測のためには、観測する三角点から目標とする三角点が見える必要があるため、三角点は山の頂上付近など見通しのよい場所を選んで設置されました。 経緯儀
三角測量で三角形の内角を測る際には、経緯儀を使用していました。下の写真の経緯儀は、運搬用の箱を含めた総重量が約60kgあったため、運搬は複数人で行っていました。
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