ジオイド・モデルの概要
ジオイド・モデル作成方法ジオイドは、地球の重力による位置エネルギーの等しい面(重力の等ポテンシャル面)の1つであり、地球全体の平均海面に最もよく整合するものとして定義されています。 日本においては、東京湾平均海面に一致する等ポテンシャル面をジオイドと定め、標高の基準としています。 国土地理院では、衛星測位を用いて標高を決定するための基盤として、1990年代からジオイド・モデルを作成し提供してきました。 社会からの要求に応えるため、ジオイド・モデルは段階的に改良されており、2016年4月からは公共測量における水準測量にも一部利用されています。 2025年4月からは、衛星測位を基盤とする標高の仕組み(標高体系)に移行するため、陸海シームレスの新たなジオイド・モデル「ジオイド2024日本とその周辺」を提供いたします。 これからのジオイド・モデルとこれまでのジオイド・モデルでは、作成方法が異なりますので、それぞれの方法について解説します。 1.これまでのジオイド・モデルジオイドには、重力データのみから作る「重力ジオイド」と楕円体高及び標高を測定して得られる「実測ジオイド」があります。 これまでは、実測ジオイドに重力ジオイドを合わせ込んでジオイド・モデルを構築してきました。 こうすることで、これまで使用してきた標高(水準測量で得られる標高)と楕円体高からジオイド高を差し引いて得られる標高が整合します。 ただし、この方法では、水準測量の距離に応じて累積する誤差の影響や地殻変動の影響などがジオイド高に含まれます。
これまでのジオイド・モデルの作成方法(イメージ図) 2.これからのジオイド・モデルこれまでの方法の課題を解決するため、これからは高品質な重力データのみから作られる重力ジオイドになります。 令和7年4月1日に公開した「ジオイド2024日本とその周辺」は、重力データのみから構築した重力ジオイドです。 これまで不足していた山岳部や沿岸部の重力データは、航空重力測量によって整備されました。 地上重力データの問題(観測時期が古い、位置情報の精度が低い)は、日本重力基準網2016を活用することで解決されました。 課題が解決されたことで、重力ジオイドの精度は約3cmに向上しました。 また、水準測量の結果を使用していないことから、地殻変動や水準測量の累積誤差の影響が含まれていません。 さらに、このジオイド・モデルは、これから地殻変動が生じても影響を受けにくい特徴があります。
これからのジオイド・モデルの作成方法(イメージ図) ジオイド2024日本とその周辺(JPGEO2024)2025年4月1日に「ジオイド2024日本とその周辺」(略称:JPGEO2024)を公開しました。 併せて、離島における基準面補正量を導入し、一部の離島において衛星測位によって標高を求める際には、ジオイド高と基準面補正量を使用します。 「ジオイド2024日本とその周辺」と基準面補正量の計算が可能な「基準面補正パラメータ」は、「基盤地図情報ダウンロードサイト」から取得できます。 2025年4月1日以降の測量には「ジオイド2024日本とその周辺」を、また、一部の離島においては「基準面補正パラメータ」を併せてご使用ください。
ジオイド高分布図(ジオイド2024日本とその周辺) 高解像度のジオイド高分布図は以下からダウンロードして御利用ください。 「ジオイド2024日本とその周辺」の精度評価「ジオイド2024日本とその周辺」の精度を評価するために、2021年度及び2022年度に3つの地区でジオイド検証を行いました。 ジオイド検証では、同じ時期にGNSS測量と水準測量を行い、得られた楕円体高と標高の差からジオイド高(実測ジオイド高)を求め、ジオイド・モデルと比較することで精度評価をします。 結果として、「ジオイド2024 日本とその周辺」の精度は目標精度である3cmを満たしていることが分かりました。
ジオイド検証の手法
ジオイド検証地域
ジオイド検証の結果 |

