航空重力測量

空から重力を測る

航空重力測量の概要

 航空重力測量は、主に【機材調達】、【計画・準備】、【航空機による測定】、【解析】のステップからなります。
  • 機材調達では、重力を測定する航空重力計や位置を計測するGNSS/IMU、それらを搭載する航空機の調達を行います。
  • 計画・準備では、飛行計画の設定及び航空機による測定に使用する飛行場に基準となる重力点を設置します。
  • 航空機による測定では、航空機に航空重力計を搭載し、上空から重力を測定します。
  • 解析では、航空機による測定で得られたデータをもとに、測定した位置での重力値を求めます。

機材調達

航空重力計

 航空機に搭載する重力計として、Micro-g-LaCoste社製 TAGS-7 TURN-KEY AIRBORNE GRAVITY SYSTEMという相対重力計を使用します。
航空重力計TAGS-7 航空機内に設置されたTAGS-7
航空重力計TAGS-7 航空機内に設置されたTAGS-7

GNSS/IMU

 GNSS/IMUは、GPSやみちびきなどの測位衛星からの電波を受信し航空機の位置(緯度・経度・楕円体高)を測定する機器と、加速度センサー、ジャイロスコープからなるIMU(慣性計測装置)で航空機の加速度、姿勢を測定する機器から構成されています。これらの装置で得られたデータより、重力が測定された位置を精密に求めます。
GNSS/IMU 航空機に設置されたアンテナ
GNSS/IMU 航空機に設置されたアンテナ

航空機

 民間企業が所有するTextron Aviation 208(令和元年12月まではCessna 208B Grand Caravan)をチャーターしています。オートパイロット機能を備え、時速300km以上、高度25,000ft(約7,600m)までの飛行が可能です。
航空重力用航空機

Textron Aviation 208


計画・準備

飛行計画

 航空機による測定は、複数の飛行場を起点とし、全国をいくつかのブロックに区分して測定を行います。ブロックの区分は、航空重力測量を先行し実施していた米国国家測地測量局(NGS)の助言や実際の測定での経験、得られたデータの解析結果等をもとに、より有効かつ効率的な測定ができるよう、改良を重ねています。
計画当初のブロック図
計画当初のブロック図
  • 全国を24のブロックでカバー
 
 
 
NGSの助言をもとに修正したブロック図
  • 重力の特徴をより的確に捉えられるよう1測線あたりの距離を延長。これに伴い、ブロックを統合。
 
 
 
現在のブロック図
2021年に修正したブロック図
  • 地域的な天候傾向や飛行が制限される地域を効率的に観測するため、東北、北海道のブロックを分割
  • ブロックごとに測定を進める計画を改めて、全国の天候(偏西風や前線の位置、雲や霧の発生状況など)を見ながら、全国を機動的に測定
 
 
 
ブロック区分(2022年5月時点)
現在(2022年5月)のブロック図
  • 航空重力測量のデータにより精度の改善が見込まれる、島しょ部のブロックを追加

飛行場への重力点の設置

 各飛行場に航空重力測量で重力値の起点となる重力点を設置します。重力点の設置作業は、飛行場内での安全を確保するとともに、航空機の離着陸による振動や風圧が重力の測定に影響を与えないよう、夜間などに行います。

飛行場における重力の測定の様子


航空機による測定

 航空機に航空重力計を搭載して上空から重力を測定します。また、GNSS/IMUを搭載し、航空機の位置や加速度、姿勢を測定します。これらのデータから、飛行高度、加速度、機体の傾斜、地球自転による遠心力の効果(エトベス効果)等の影響を補正して、最終的な重力値を算出します。なお、重力値は、飛行場に設置した重力点の重力値、航空機の位置は電子基準点の位置情報をそれぞれ基準にしています。

航空機による測定のイメージ


測定条件

 航空機が飛行し、重力を計測する経路を「測線」と呼びます。「主測線」は重力データを測定することを目的とした測線で、「副測線」が主測線の観測データを確認するための測線です。航空機による測定は、以下の条件を標準として作業を行います。

コース間隔:主測線10km、副測線約100km毎
沿岸域 :沖合40km
測定高度 :3,000m、中部山岳地帯は5,000m
飛行対地速度 :300km/h
使用機体 :セスナ208型相当

航空機による測定の条件


測定作業の様子

 航空機による測定時にはパイロット及び測定者が航空機に搭乗します。測定者は、測定する測線をパイロットに指示し、測定機器の操作を行います。また測定中は機器の状態を定期的に確認し、体感した航空機の揺れを時刻とともに記録します。
 搭乗者は上空3,000mを超えると酸素マスクをつけ作業を行います。
上空における航空機内の様子 測定者の作業の様子
上空における航空機内の様子 測定者の作業の様子

実施状況

ブロックごとの実施状況(2022年5月時点)
ブロック名 実施状況
HD01 令和3年度より実施
HD02 令和3年度より実施
TH01 令和3年度より実施 概ね完了※
TH02 令和2年度より実施 概ね完了
KT01 令和元年度より実施 概ね完了
KT02 令和2年度より実施 概ね完了
KT03 令和元年度より実施 概ね完了
KT05 令和3年度より実施
CB01 令和2年度より実施 概ね完了
CB02 令和元年度より実施 概ね完了
CG01 令和2年度より実施 概ね完了
CG02 令和2年度より実施 概ね完了
CG03 令和2年度より実施 概ね完了
KY01 令和2年度より実施 概ね完了
KY02 令和2年度より実施 概ね完了
KY03 令和3年度より実施 概ね完了
KY04 令和3年度より実施
KY05 令和4年度より実施
OK01 令和4年度より実施
OK02 令和4年度より実施予定

※「概ね完了」としたブロックでも、今後、隣接する測線間の重力値や、主測線と副測線の交点での重力値を比較することで、測定データの精度評価を実施し、必要な精度に達していない場合は、改めて測定を実施します。

解析

GNSS/IMU解析

 航空機に搭載したGNSS/IMUで得られたデータより、航空機の位置情報を求めます。解析は、電子基準点を基準とした後処理キネマティック方式です。

重力解析

 GNSS/IMU解析で得られた航空機の位置情報と航空重力計で得られ重力値を結び付け、航空機が飛行した位置における重力値を算出します。
KT03ブロックの測定で得られた重力分布

KT03ブロックの測定で得られた重力分布(赤いほど重力が強く、青ほど弱いことを示しています)


検定線おける検証

 航空重力計の動作確認や取得されたデータの再現性の確認は、検定線と呼ばれる測線で行います。
 1年に1度、検定線上を東西両方向から複数回測定し、得られた重力値を比較することで、航空重力計の点検を行います。
検定線 地上における重力の測定
検定線 地上における重力の測定