平成19年2月~3月の地殻変動について
発表日時:2007年4月9日(月)16時00分
全国の地殻変動概況
別紙1~7は、国土地理院が全国に展開しているGPS連続観測網の観測結果から求めた2月中旬から3月中旬までの1ヶ月間の地殻変動を表したものです。
硫黄島では、南東部の大きな隆起などの地殻変動が見られます(トピックス参照)。
その他の地域では特に目立った変動は見られません。
トピックス
- 3月25日に発生した平成19年(2007年)能登半島地震(マグニチュード6.9)では、電子基準点「富来」(志賀町富来)が21cm南西方向へ移動するなど、能登半島周辺で大きな地殻変動が観測されました。この観測結果から推定された震源断層モデルは、ほぼ北東-南西方向、大きさは、長さ 約21km、幅約14kmで、南東に傾き下がる断層面をもつ、右横ずれ成分を伴う逆断層であることが分かりました。なお、現在までに顕著な余効変動は観測されていません。 (別紙8[PDF形式:125KB], 別紙9[PDF形式:326KB], 別紙10[PDF形式:263KB])
- 硫黄島南東部に設置された電子基準点「硫黄島1」は、平成18年8月頃に長期的な沈降から隆起に転じた後、11月頃から12月末まで隆起速度が加速しました。1月に入りやや減速しましたが、隆起傾向は継続しています。また、島の南西端に設置された電子基準点「硫黄島2」の南方向の地殻変動も平成18年11月以降、同様の経過をたどっています。 (別紙11[PDF形式:317KB])
- 4月15日に発生した三重県中部の地震(マグニチュード5.4)では、地震に伴う地殻変動と見られるような顕著な変化は検出されませんでした。 (別紙12[PDF形式:281KB])
- 御嶽山周辺では、平成18年12月下旬から山体を挟む基線でわずかな伸びが観測されていましたが、最近では停滞しているように見えます。 (別紙13[PDF形式:499KB])
- 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む基線で長期的な伸びの傾向が見られます。 (別紙14[PDF形式:563KB])
問い合わせ先
国土地理院 〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番 測地観測センター 地殻監視課長 宮崎 孝人 (029-864-5971) 測地観測センター 地震調査官 中川 弘之 (029-864-4825)
補足説明
- 全国の1年間の地殻変動(平成18年3月中旬から平成19年3月中旬まで、別紙15)[PDF形式:563KB]
- 北海道地方では、平成15年(2003年)十勝沖地震後の余効変動の影響が見られます。
- 伊豆半島東部では、平成18年の3月末及び4月中旬から5月初旬にかけての伊豆半島東方沖の地震活動に伴う地殻変動が見られます。
- 硫黄島の変動ベクトルは、島内の地殻変動を表しています。
- その他の地方では、プレート運動による定常的な変動が見られます。