全国の標高成果の改定に関するQ&A

全国の標高成果の改定に関するQ&A

【公共測量に関するご質問】

Q1-1 全国の標高成果を改定するのは、なぜですか。

A1-1.
長年の地殻変動で累積した標高成果のズレや、水準測量の距離によって累積していた誤差等を解消する必要があることから、令和7年4月1日に標高成果を改定することとしました。

Q1-2 標高成果の改定対象となる基準点の種類はなんですか。

A1-2.
国土地理院が管理する電子基準点、三角点、水準点等の基準点が対象となります。

Q1-3 各地方での標高成果の改定量はどの程度ですか。

A1-3.
三角点の最大改定量は宮城県牡鹿半島で+57cm、北海道知床半島で-67cmとなります。また、水準点の最大改定量は宮城県牡鹿半島で+23cm、北海道別海町で-40cmとなります。なお、一部の離島においては最大改定量を上回るところもあります。

Q1-4 日本水準原点の原点数値は改定されるのですか。

A1-4.
日本水準原点の原点数値は改定されません。

Q1-5 衛星測位を基盤とする標高になることで、今後、水準測量による方法は使えなくなるのですか。

A1-5.
高精度に高さが求められる水準測量が使えなくなることはありません。利用者の目的に応じ、測量方法が選択できる環境が整ったとご理解ください。

Q1-6 令和7年4月1日の改定では、標高のほか、緯度経度や平面直角座標の数値も改定されるのですか。

A1-6.
令和7年4月1日に標高値のみ改定します。

Q1-7 標高成果に元期(げんき)を設定するのは、なぜですか。また、標高の成果の元期はいつですか。

A1-7.
元期を設定することで、元期以降の標高の時間変化を電子基準点によって監視が可能となり、例えば全国の電子基準点の標高成果をいつでも矛盾なく利用できるようになったり、地殻変動の影響がない標高を決定ができるようになったりします。また、標高の元期は「令和6年6月1日」と定めました。

Q1-8 電子基準点成果表に記載の楕円体高は改定されるのですか。

A1-8.
標高成果の改定に合わせて楕円体高も改定します。楕円体高は、標高の元期と同じ「令和6年6月1日」相当の値となります。なお、数年の移行期間後に楕円体高の記載は成果表から削除します。

Q1-9 測量成果の名称が「測地成果2024」に変更されますが、測地系の名称は変更されますか。

A1-9.
測地系の名称を「日本測地系2011(JGD2011)」から「日本測地系2024(JGD2024)」に変更します。なお、測地系の定義を変更するものではなく、測量成果との名称を統一させるための変更となります。
※測地系については、日本の測地系をご確認ください。
 

Q2-1 改定前の測量成果を使用し、公共測量を行うことはできますか。

A2-1.
令和7年4月1日以降は改定された測量成果を使用して公共測量を実施してください。

Q2-2 令和6年度までに完了した公共基準点の測量成果の扱いはどうなりますか。

A2-2.
令和7年度電子基準点、三角点、水準点等の標高改定に伴う公共測量成果への対応についてをご確認ください。

Q2-3 令和6年度から令和7年度に年度をまたぐ事業の場合は、どの様に対応すればいいですか。

A2-3.
令和7年度電子基準点、三角点、水準点等の標高改定に伴う公共測量成果への対応についてをご確認ください。

Q2-4 公共基準点や公共水準点の標高成果の改定は、どの様に行えばいいですか。

A2-4.
令和7年度電子基準点、三角点、水準点等の標高改定に伴う公共測量成果への対応についてをご確認ください。

Q2-5 標高補正パラメータとはなんですか。

A2-5.
公共基準点や公共水準点の改定前の標高成果(旧標高)を新たな標高成果(新標高)に換算する補正量を算出することができるグリッドデータです。パラメータを用いることで旧標高を新標高に換算できますが、一定の誤差が生じますので、誤差の許容範囲を踏まえた上で利用してください。なお、基準点と水準点で利用する標高補正パラメータが異なります。

Q2-6 三角点と水準点のパラメータが別々に公開されますが、違いはありますか。

A2-6.
三角点標高補正パラメータは1~4級基準点、水準点標高補正パラメータは1~4級水準点に適用するパラメータとなります。三角点と水準点の補正量は地域によって異なりますのでご注意ください

Q2-7 これまでに公開されている標高補正パラメータとの関係性はどうなりますか。

A2-7.
今回作成するパラメータは、既に公開されている標高補正パラメータと関係しているものではありません。
そのため、公開されている標高補正パラメータと今回作成するパラメータを使用して標高成果を改定する場合は、公開されているパラメータ(公表時期が早い順)から適用し、補正計算を実施してください。
※改定する標高成果について、既に公開されている標高補正パラメータを適用し改定している測量成果の場合は、今回公開されるパラメータのみ適用してください。

Q2-8 公共測量に位置づけられない事業の標高の扱いはどうなりますか。

A2-8.
運用上の支障がない限り、計画機関等の判断により改定前の標高成果(旧標高)を使うことを妨げるものではありません。ただし、使用している標高の種類(新標高又は旧標高)を確認できる状態にしてください。また、標高改定量が大きい地域では、全ての事業完了後に標高成果の改定を検討してください。

Q2-9 基準点の改定前の標高成果と新たな標高成果を見分けるルールはありますか。

A2-9.
改測や改算により標高成果の改定を行った基準点の測量成果、令和7年4月1日以降に得られた基準点の測量成果の名称は「測地成果2024」とします。具体的には、基準点成果表の右上に「測地成果2024」を記載し、改定前の測量成果である「測地成果2011」との区別をします。

Q2-10 国土地理院が管理する基準点ついて、令和7年4月1日以降に改定前の測量成果は確認等できますか。

A2-10.
改定前の測量成果は、閲覧・謄本交付を行うことができます。
ただし、閲覧等の場所は、国土地理院情報サービス館及び各地方測量部並びに沖縄支所になります。詳細は基準点測量成果等の謄抄本交付申請のページをご確認ください。

Q2-11 「GNSS標高測量」とはどのような測量ですか。

A2-11.
ジオイド・モデル「ジオイド2024日本とその周辺」と電子基準点を用いて新点(水準点)の標高を求めるための測量です。令和7年4月1日に公共測量へ導入しました。

Q2-12 ジオイド・モデル「ジオイド2024日本とその周辺」はどこから取得できますか。

A2-12.
ジオイド・モデル「ジオイド2024日本とその周辺」(ASCII形式のファイル名:JPGEO2024.isg)は令和7年4月1日から基盤地図情報サイトから取得できます。なお、「ジオイド2024日本とその周辺」は従来のジオイド・モデル「日本のジオイド 2011」からフォーマットを変更していますので、使用の際は利用されるソフトウェアにおいて正常に読み込まれることをご確認ください。

※令和7年4月1日以降にダウンロードできるデータ形式は、ジオイド・モデルの変更をご確認ください。

Q2-13 基準面補正量とはなんですか。

A2-13.
日本の土地の高さ(標高)は、測量法により、東京湾平均海面を基準(0m)と定めています。ただし、離島の測量およびその他の特別な事情がある場合は、独自の平均海面からの高さを標高と定めています。
 「ジオイド2024日本とその周辺」は、東京湾平均海面に一致した陸海シームレスジオイドであり、これを使用しただけでは、独自の平均海面を基準(0mm)としている離島では、楕円体高と標高の換算ができません。そのため、東京湾平均海面と離島独自の平均海面の差を「基準面補正量」と定め、当該離島の楕円体高と標高の換算時に、ジオイド高と合わせて使用します。

Q2-14 基準面補正量の計算が可能な「基準面補正パラメータ」はどこから取得できますか。また、パラメータの適用が必要な範囲はどこですか。

A2-14.
「基準面補正パラメータ」(ASCII形式のファイル名:Hrefconv2024.isg)は、令和7年4月1日以降、基盤地図情報サイトから「ジオイド2024日本とその周辺」(ASCII形式のファイル名:JPGEO2024.isg)とあわせて取得できます。また、基準面補正パラメータの適用が必要な範囲は、吐噶喇(トカラ)列島以南、八丈島以南の島となります。

※令和7年4月1日以降にダウンロードできるデータ形式は、離島における基準面補正量の導入をご確認ください。

Q2-15 公共測量において楕円体高と標高とを換算する際には、ジオイド・モデルと基準面補正パラメータを別々に取り込む必要がありますか。

A2-15.
基本的に二つのファイルを別々に取り込んでください。ただし標高体系移行の円滑化を図るために、当面の間「ジオイド2024日本とその周辺」と「基準面補正パラメータ」を統合したファイル(ASCII形式のファイル名:JPGEO2024+Hrefconv2024.isg)も基盤地図情報サイトからあわせて提供します。なお、統合したファイルは、基準面補正量が必要な島だけでなく、日本全国で使用することができます。

令和7年4月1日以降にダウンロードできるデータ形式は、離島における基準面補正量の導入をご確認ください。

Q2-16 電子基準点、基本基準点及び基本水準点の成果表の様式は変更されますか。

A2-16.
令和7年4月1日から以下のとおり変更しました。
  • ​(1)標高成果の値が衛星測位を基盤とする最新の値に変更​。
  • (2)電子基準点の「標高区分」の記載を削除。また、数年の移行期間後に「楕円体高」の記載を削除。
  • (3)水準点(基準、準基、一等)の標高の桁数を0.1mm位から1mm位に変更。

Q2-17 水準点成果表において、水準点(基準、準基、一等)の標高の桁数が1mmに変更されるのは、なぜですか。

A2-17.
衛星測位を基盤とする標高体系において、一等水準点等の標高成果は電子基準点の標高成果が基となります。電子基準点成果表における標高の桁数が1mm位であるため、一等水準点等の標高成果の桁数をこれにあわせることとしました。表示桁数が変わるだけで、精度が悪くなるわけではありません。

Q2-18 製品仕様書の記載は「日本測地系2024(JGD2024)」となりますか。

A2-18.
測地成果2024を使用して測量を実施するのであれば、測地成果2024またはJGD2024と記載してください。なおJISX7115において「(附属書2表1で)規定されていない座標参照系を指定する場合には、必ず典拠(authority)を記述しなければならない」とされております。そのためJISX7115に規定されるまで、『JGD2024は、平成23年10月21日時点の測量法施行令(昭和24年政令第322号)第2条及び第3条を典拠とする。』但し書きが必要となります。

Q3-1 標高成果の改定により地図は何が変わりますか。

A3-1.
地図に表示している電子基準点、三角点、水準点等の基準点の標高値が変わる場合があります。改定量については、A1-3.をご参照ください。

Q3-2 改定後の標高成果を反映した地図・数値標高モデル(DEM)はいつ提供・刊行されますか。

A3-2.
地図の提供・刊行予定時期は以下のとおりです(令和7年4月時点の予定であり、今後の作業の進捗次第で変更される場合があります)。
  • ​○2万5千分1地形図は、令和7年5月1日以降に刊行する成果に対し、標高改定を反映する予定です。​
  • ○​標高改定を反映した基盤地図情報(基本項目、数値標高モデル)は、令和7年7月末に提供予定です。それまでに標高改定を反映した数値標高モデルをご利用になりたい場合は、令和7年4月1日に「基盤地図情報等パラメータ補正ツール」を公開しましたので、本ツールによる変換をご検討ください。​
  • ○電子地形図25000は、令和7年5月末以降に、標高改定を反映する予定です。標高改定に伴う全てのデータ修正は3か月程度を要する見込みです。なお、5月末までにご購入いただいた電子地形図25000は標高改定を反映していませんので、区別がつくよう整飾に「測地成果2011」と記載しています。
  • ○電子地形図50000は、令和7年4月1日以降に新規提供及び更新する成果に対し、標高改定を反映する予定です。​
  • ○電子地形図20万は、令和7年4月1日以降に更新する成果に対し、標高改定を反映する予定です。​
  • ○数値地図(国土基本情報)のうち、地図情報は令和7年5月末以降に、標高改定を反映する予定です。標高改定に伴う全てのデータ修正は3か月程度を要する見込みです。また、メッシュ標高情報は7月末に標高改定を反映する予定です。
  • ○数値地図(国土基本情報20万)は、令和7年4月1日以降に更新する成果に対し、標高改定を反映する予定です。​
  • ○標高改定を反映した点群データの提供は、次回整備予定の令和7年度末の予定です。
  • ○地理院地図の背景地図は、令和7年5月末以降に、標高改定を反映する予定で、全てのデータ修正は、3か月程度を要する見込みです。

Q3-3 標高成果の改定により山の高さは変わりますか。

A3-3.
日本の山岳標高一覧(1003山)」に掲載している一部の山の標高値が変更になりました。改定後の標高成果を反映した一覧は令和7年4月1日に公開しました。

Q3-4 標高成果の改定により数値標高モデル(DEM)の標高値は変わりますか。

A3-4.
標高値が変わる場合があります。改定後の標高成果を反映した基盤地図情報(数値標高モデル)は令和7年7月末に提供予定です。それまでに標高成果の改定を反映した数値標高モデルをご利用になりたい場合は、令和7年4月1日に「基盤地図情報等パラメータ補正ツール」を公開しましたので、本ツールによる変換をご検討ください。

Q3-5 全ての数値標高モデル(DEM)が改定されますか。

A3-5.
改定の対象となるDEMは、航空レーザ測量から作成したDEM1A及び5A、写真測量から作成した5B及び5Cです。火山基本図から作成したDEM10A、地形図の等高線から作成したDEM10B及び数値地図(国土基本情報)に含まれる50mメッシュDEMについては、許容精度の観点から改定しません。

Q4-1 標高成果の改定により、電子基準点の観測データを用いた高精度測位サービス(ネットワーク型RTK-GNSS等)の測位結果に、影響はありますか。

A4-1.
測位結果が成果表の値(元期座標)に準拠して表示されるもの(今期座標については、A4-6.をご参照ください)については、標高成果の改定前後で高さ情報にズレが生じる可能性があります。電子基準点から補正情報を利用される皆様への注意喚起をご確認ください、

Q4-2 標高成果の改定により地殻変動補正パラメータは変わりますか。

A4-2.
地殻変動補正パラメータは、成果表の値(元期座標)を今期座標に、または今期座標を元期座標に補正することができるパラメータですが、その対象とする元期座標を測地成果2011から測地成果2024に変更し、パラメータに含まれる高さ方向の補正期間が変わります。なお、令和7年度のパラメータ(SemiDyna2025.par、pos2jgd_202502_ITRF2014.par等)に限り、高さ方向の補正量は0となります。

Q4-3 令和7年度の地殻変動補正パラメータの高さ方向の補正量が0になるのは、なぜですか。

A4-3.
高さ方向について、元期(令和6年6月1日)から累積する地殻変動量が少ないため、令和7年度に限り、補正量を0としています。令和8年度のパラメータからは補正量を記載する予定です。

Q4-4 改定後の電子基準点成果表に記載の楕円体高と、元期(令和6年6月1日)における「電子基準点日々の座標値(F5解)」の楕円体高は一致しますか。

A4-4.
計算方法やアンテナ位相特性モデルの違いにより、数cm程度の差異があります。

Q4-5 標高成果の改定により「電子基準点日々の座標値(F5解)」は変わりますか。

A4-5.
標高成果の改定に伴う「電子基準点日々の座標値(F5解)」の変更はありません。
 なお、「電子基準点日々の座標値(F5解)」は、「電子基準点日々の座標値(F5.1解)」への移行を進めており、令和7年3月28日から試験公開をしています。

Q4-6 単独測位やPPP(精密単独測位)等で得られる今期の高さ情報(楕円体高、標高)は変わりますか。

A4-6.
今期の楕円体高は変わりません。一方、今期の標高は、楕円体高から標高へ変換する際に、国土地理院が公表するジオイド・モデルを使用している場合、そのジオイド・モデルを「日本のジオイド2011」から「ジオイド2024日本とその周辺」(または「ジオイド2024日本とその周辺」と「基準面補正パラメータ」を統合したファイル)へ変更することで、同じ楕円体高であっても、変換により得られる標高には最大数十cm程度の差が生じる可能性があります。