最終更新日:2020年3月13日

採用担当Facebookアーカイブス ~測地部~

【すいじゅん、って何だ?】

地理地殻活動研究センター 小柳さん

2020年2月12日公開→Facebookで見る
こんにちは。採用2年目の小柳です。
今回は、昨年秋に参加した三浦半島の水準(すいじゅん)測量について紹介します。
水準測量とは、言ってしまえば、写真にある長い物差し(標尺)を使って「高さの差」を測る作業のことです。原始的!と思われたでしょう。その通り。測り方は明治時代からほとんど変わっていません。しかしその精度は、数百キロ進んでもわずか数cm。皆さんのいる場所の標高が正確にわかるのも、こうした作業がベースになっています。
現場で一番苦労したのはトンネル区間。後少しでゴールというところで後ろから大きな自転車が来たために、一からやり直しなんてことも...とはいえ地道な作業ながら、終わると不思議な達成感があるのが水準測量です。
(余談ながら、2週間も作業をしていると、車で地面が揺れるタイミングを予測できるようになりました。)
町中にオレンジ一色の目立つ服を着た人たちがいても、不審者ではございません。是非暖かい目で見守っていただければ幸いです。

「電子レベル」という器械で最大約40m先の物差し(標尺)の目盛を読み取ります。

約3mある標尺。2本の支え杖を使って垂直に立てます。

 

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【石岡測地観測局コロケーション測量】

~その1:コロケーションとは?~

測地部 宇宙測地課 松本さん

2019年2月8日公開→Facebookで見る
 皆さんこんにちは。平成29年度採用、測地部宇宙測地課の松本です。茨城県石岡市の国土地理院石岡測地観測局には、直径13mの大きなアンテナがあります(写真)。このアンテナでは、地球上の複数のアンテナで同時に同じ天体の電波を受信することで地球の形や地球の位置を測るVLBIという観測を行っています。宇宙測地課では、このVLBIアンテナに関する業務を行っています。さて、今回の記事では、普段は天体を観測しているVLBIアンテナを地上から測る「コロケーション測量」について紹介します。

 VLBIは、国際的な位置の基準である国際地球基準座標系(ITRF)の構築に用いられる宇宙測地技術の一つです。ITRFは、VLBIのほか複数の宇宙測地技術の長所を生かして構築されます。例えば、VLBIは長距離の測量が得意なので、地球の座標の目盛りを決めるために重要な役割を果たします。それぞれの長所を生かすには、異なる測地技術による観測結果を組み合わせて解析する必要があります。そのためには、それぞれの「位置の基準」同士の位置関係を地上から正確に測ることが必要です。この作業を、コロケーション測量といいます。

 石岡測地観測局では、昨年11月にコロケーション測量を行いました。次回は、この作業の様子を写真とともに紹介します。
石岡測地観測局のFacebook(https://www.facebook.com/gsi.igos/
※VLBIとは? http://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/vlbi-about.html
※コロケーション測量について http://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/vlbi-work.html#3

写真1 石岡VLBIアンテナ

 

#国土地理院_業務紹介 #測量 #VLBI #国土地理院石岡測地観測局

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~その2:アンテナ中心を測る~

測地部 宇宙測地課 松本さん

2019年2月9日公開→Facebookで見る
 皆さんこんにちは。平成29年度採用、測地部宇宙測地課の松本です。今回の記事では、コロケーション測量の作業の様子をお伝えします。 2018年11月、石岡測地観測局で約2週間のコロケーション測量を行いました。石岡局にはVLBIとGNSSの2つの宇宙測地観測施設があります。前回の記事でお伝えしたように、コロケーション測量ではそれぞれの観測技術の「位置の基準」同士の位置関係を測ります。VLBI観測とGNSS観測の「位置の基準」は、それぞれのアンテナの中心です。よって、石岡局のコロケーション測量では、VLBIアンテナの中心とGNSSアンテナの中心の位置関係を計測します。最新の宇宙測地技術であるVLBIですが、コロケーション測量はTS(トータルステーション)や水準儀を用いた伝統的な測量方法で行います。 ここからは、その作業の様子を写真とともに紹介します。

写真1:石岡測地観測局の全景です。コロケーション測量では、VLBIアンテナとGNSSアンテナの中心間の位置関係(黄色の矢印)を測ります。また、奥に見えるのは筑波山です。方向を決めるため、筑波山に回光灯と呼ばれるとても明るいライトを据え、それを約10km離れた石岡局から観測します。
写真2:VLBIアンテナの中心を求めるために取り付けたターゲットを観測中です。観測期間中は天候にも恵まれ、アンテナの映える秋晴れの中、順調に作業が進みました。太陽の光も観測結果に影響するため、日傘を差して観測しています。
写真3:高さを測るための水準測量中です。
写真4:アンテナの内部でも観測を行いました。

 私は普段デスクワークが中心で現場での経験が少ないため、初めは不安を感じていましたが、この測量を通して先輩職員や測手さんが作業をする姿から多くを学び、自信を持って作業することが出来るようになりました。測量作業が終わり、現在はVLBIとGNSSのアンテナ中心間の位置関係を算出するための計算を進めています。今回の測量成果は、次のITRF構築に活用される予定です。

 この記事を読んでVLBIアンテナや石岡局に興味を持ってくださった方は、石岡測地観測局のFacebook(https://www.facebook.com/gsi.igos)もぜひご覧ください。

写真1:石岡測地観測局の全景です。

写真2:VLBIアンテナの中心を求めるために取り付けたターゲットを観測中です。

写真3:高さを測るための水準測量中です。

写真4:アンテナの内部でも観測を行いました。

 

#国土地理院_業務紹介 #測量 #VLBI #国土地理院石岡測地観測局

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【地磁気測量】(測地部 物理測地課 地磁気係)

【業務紹介:磁気儀の検定】

測地部 物理測地課 地磁気係

2018年5月14日公開→Facebookで見る
地磁気係では、日本全国で地磁気測量を行っています。
4月20~27日に、作業で使用する磁気儀(地磁気の向きを測る測量 機器)が正常に動作するかを確認するため、茨城県石岡市にある気象庁 地磁気観測所の施設で、機器の検定を行いました。
先日当係に配属された吉藤係員を主軸に作業を実施しましたが、新人と は思えない落ち着いた観測ぶりで、大物の予感がします。
無事に検定も終了し、いよいよ本作業が始まります。
(地磁気係長談)

写真1の説明文

写真2の説明文

写真3の説明文

 

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【業務紹介:地磁気測量】いよいよ本作業

測地部 物理測地課 吉藤さん

2018年6月29日公開→Facebookで見る
 こんにちは。測地部 物理測地課 地磁気係の吉藤です。
 地磁気係では、日本全国の地磁気を測る業務を行っています。私は、地磁気の連続観測を行っている全国11か所の観測点で測量しています。今回は、5月に実施した中部地方での地磁気測量についてお話しします。
 地磁気観測の一番の敵は、金属です。そのため観測点は、車や人の往来が少ない所にあります。また観測中は、携帯やベルトなど金属類を外します。さらに、観測機器を降雨や日射から守るために天幕を張って、その中で観測します(天幕の中は、ジメジメとして大変!)
 観測は1日に3回、決められた時間に行います。夕方の観測では周囲が暗くなり、目盛をなかなか読むことができないといったハプニングもありましたが、どうにか無事終えることができました。
 また、地磁気測量では、観測だけではなく、地下室(マンホール内部)にある磁力計の保守作業も行います。マンホールの中は暗くて狭い上に、地上からはしごを使って登降するので大変です。ですが、保守作業を終えた後の解放感はよいものです。
 まだまだ未熟者の自分ですが、年度末にはよりレベルアップしていたいです。

前回関連記事 https://www.facebook.com/gsi.saiyo/posts/1982052595201263

作業場所の様子

観測風景

保守作業での一幕

 

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【業務紹介】離島の基準点設置作業-大野原島地区-

測地部 測地基準課 大内さん

2018年8月31日公開→Facebookで見る
 こんにちは。H29年度入省、測地部測地基準課基準係の大内です。国土地理院では、海洋基本法に基づく「離島の保全等」に資するため、領海や排他的経済水域の範囲を決定する離島に三角点を設置し、国土に関する基本的情報である位置情報の整備を行っています。今回は、大野原島で行った三角点設置作業について報告します。
 大野原島は、東京都三宅島から西に約10 kmの大小10余の岩礁からなる無人島です。今回の作業では大野原島の中で、間角根と呼ばれる岩礁に一等三角点を設置しました。
 三角点の設置後は、三角点の位置を決定するためにGNSS測量機による観測を行う一方、標高を求めるためGNSS簡易験潮ブイを用いて潮位の観測を行いました。船上での作業や島への上陸など、初めて経験することが多く、私が乗り物に弱いこともあり、足を引っ張ることばかりでしたが、経験豊富な係長と測手さん(測量業務を補佐するスペシャリスト)に支えていただき、計画どおり無事作業を終えることが出来ました。
 今回の作業では、十分なデータを取得できたものの、GNSS簡易験潮ブイが水没するといったトラブルもありました。この経験をもとに対策を立て次の機会に生かしたいと思います。

地理院地図(大野原島(間角根)):https://maps.gsi.go.jp/#16/34.045646/139.378492

間角根(南から撮影)

島への上陸は船から直接飛び移りました。

設置直後の一等三角点

GNSS測量機による観測

ここに設置しました。

撤収中。おっかなびっくりです。

GNSS簡易験潮ブイの投入

イルカに会えました。

 

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【業務紹介:重力測量】機器検定編

測地部 物理測地課 重力係

2018年5月28日公開→Facebookで見る
彼は何をしているか、分かりますか?

彼は今、重力値(重力加速度)を測定しています。測定は、重力加速度(9.8m/s2)を1億分の1の細かさで測ります。

この作業は、相対重力計の検定を行っているところですが、筑波山の麓から山頂に向けて、順々に重力値の分かっている観測点において複数の器械で重力値を測定し比較することで、器械の性能を検査します。

彼は、入省4年目で今年度から測地部物理測地課重力係に配置されました。
昨年度までは、国土地理院が進むべき方向を舵取りする企画・立案の仕事をしていましたが、現在は、一転して現場で技術を習得する日々です。

このように様々な部署で広く深く学ぶことができるのが、国土地理院の魅力の一つです。

↓重力係の仕事について、さらに詳しくは知りたい方はこちら↓
<http://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/gravity_index.html>

写真1の説明文

写真2の説明文

写真3の説明文

 

#国土地理院_業務紹介 #重力測量 #機器検定 #現場作業 #様々な部署に異動

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【業務紹介】地磁気係の業務と磁気図の更新について

第1回 「地磁気」とは

測地部 物理測地課 地磁気係 髙橋さん

2017年1月31日公開→Facebookで見る

 こんにちは、リクサポです!
今回は、国土地理院の中でも知る人ぞ知る(?)、地磁気係の業務について、測地部の髙橋さんにお話を伺います。
「国土地理院で地磁気???」と思った方も多いでしょう。 実は、地図や現代社会には欠かせない、とても重要な業務なんです。
それでは髙橋さん、どうぞ!

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 こんにちは。測地部 物理測地課 地磁気係の髙橋です。
 (入省12年目、2)種/物理区分採用)

 「地磁気」という言葉を聞いたことはありますか?

 地球は磁石としての性質を持っており、地球が持つ固有の磁場のことを地磁気と言います。地磁気は測る場所や時間によって常に変化していますが、現在では、地球を概ね北極付近がS極、南極付近がN極の巨大な棒磁石として表現できることが知られています。方位磁石のN極が北の方を指すのは、この性質によるものです。(図1)

 では、どうして国土地理院で地磁気を測る必要があるのでしょうか? 実は、地図の北と方位磁石が指す方向はわずかにずれており、地図の向きを現実世界と同じ方向に向けるためには、このずれを補正する必要があります。ずれの大きさを偏角と呼び、地磁気を測ることで偏角を知ることができますが、厄介なことに偏角は場所によって異なるだけでなく、時々刻々と変化します。そのため、定期的に地磁気を測量して、正確な偏角情報を公表しています。

 国土地理院の地形図をよく見ると、欄外に偏角の値が記載されています。この値こそ、私たちが行った地磁気測量の成果なのです。(図2) もし正しい偏角の値を知らなければ、登山などをする際に、地図の向きが合わずに道に迷うおそれがあります。また、偏角情報は地図に記載されるだけでなく、飛行機の航路を決めたり、日影制限のための建物の北側を決めたりする際にも使われており、今や私たちの生活の安全・安心に欠かせない情報となっています。
詳しくは、地磁気測量のホームページもご覧になってみて下さい。

(参考) 国土地理院 地磁気測量ホームページ ― 地磁気を知る(http://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/menu01_index.html

図1. 地磁気のイメージ図

図2. 電子地形図25000の偏角情報(千代田区付近の例)

 

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次回は、引き続き髙橋さんに実際の地磁気の測量作業について紹介していただきます。

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第2回 「地磁気測量の現場」とは

測地部 物理測地課 地磁気係 髙橋さん

2017年2月5日公開→Facebookで見る

 こんにちは、リクサポです! 前回に引き続き、地磁気係の業務について、測地部の髙橋さんに紹介していただきます。
地磁気測量の現場とはいったいどんなものなのでしょうか?
それでは髙橋さん、お願いします!

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 こんにちは。測地部 物理測地課 地磁気係の髙橋です。
 私の係では、日本全国の地磁気を測る業務を行っています。

 地磁気の向きや大きさを測ります。磁場を発生させるものを身に付けていると正確な測量ができないため、観測の際は金属類(時計、眼鏡、スマホ、ベルト、財布...金属だらけ!)は全て外します。素材によっては作業着のボタンやジッパーですら影響してしまうので、注意が必要です。

 地磁気を測量するための点として、磁気点と呼ばれる観測点が全国に約900点あります。このほか、近年では、地磁気の連続観測を行っている施設も全国に14か所設置されています。

 全国の観測点を転々と測量するので、年間、80日以上も出張に出ます。観測点は磁気的に静穏な、人里離れた山の中が多いので、自然(と藪蚊)に囲まれた環境で作業を行っています。北は礼文島から南は沖縄本島まで、いろいろな場所に行けるのも魅力の一つです。

 地磁気測量の集大成として、昨年12月に日本全国の地磁気の分布を表した「磁気図2015.0年値」を作成し、公表しました。(図1)この図は、全国の連続観測データを基に作成した図で、全国どこでも最新の地磁気値を知ることができるようになりました。

 任意の場所の地磁気値を計算できる便利な計算サイトも用意しましたので、是非使ってみてください。今後、磁気図は5年ごとに更新していきます。

◆地理院地図で全国の磁気図(偏角)をみる
(http://maps.gsi.go.jp/#5/35.362222/138.731389/&base=std&ls=std%7Cjikizu2015_chijiki_d&blend=0&disp=11&lcd=jikizu2015_chijiki_d&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f0&d=v)
◆任意の場所の地磁気を求める計算サイト
https://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/geomag/menu_04/index.html#keisan

図1. 磁気図2015.0年値(偏角)

写真1. 地磁気測量の現場風景[1]

写真2. 地磁気測量の現場風景[2]

 

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【出張報告】~西之島での現地測量~

~前編・西之島に上陸するまで~

測地部 測地基準課 大森さん

2016年12月15日公開→Facebookで見る

こんにちは、リクサポです。
国土地理院では、西之島で噴火後初の現地測量を実施しました。 現地に出張して貴重な経験を積んだメンバーのひとり、測地基準課の大森さんにお話を伺います。
2週連続企画、今回は【~前編・西之島に上陸するまで~】
それでは大森さん、どうぞ!

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 はじめまして。測地部測地基準課の大森です。
(入省3年目、一般職採用、農業農村工学区分)
国土地理院では海洋基本法に基づく「離島の保全」の観点から、領海や排他的経済水域の範囲を決定する離島に三角点を設置し、正確な位置情報の整備を行っています。今回は10、11月に実施した西之島での作業について紹介します。ニュースで少し報じられていたので、テレビや新聞で見た方もいるかもしれませんね。
 西之島は東京から南へ約1000kmに位置する島です。平成25年11月に噴火が起こり、新たな陸地が形成されました。西之島には火口周辺警報が発令されていましたが、今年の8月に警報の範囲が縮小され、上陸調査が可能となりました。今回の噴火で島の形状が大きく変化したため、地図を作成しなければなりません。そこで位置の基準となる三角点を設置するため西之島へ向かいました。
 今回の作業は海上保安庁と協働で実施(海上保安庁は海図作成が目的)することとなり、国土地理院からは私と上司の2名が海上保安庁の測量船「昭洋」に同乗して10月22日に東京(お台場)を出港しました。西之島に到着するまでの間(到着まで約2日かかりました)に、海上保安庁の方と作業の打ち合わせや器材の準備を行いました。
 噴火前の旧西之島は小笠原諸島世界自然遺産地域に含まれており、新たな生態系の構築過程であることから、環境省より上陸に関するルールが定められています。これに基づいて衣類は新品を準備し、島に持ち込む器材はすべて燻蒸、冷凍、アルコール洗浄のいずれかの防疫を行いました。
 また、上陸時は外来種の持ち込みを防ぐため、ゴムボートで陸地付近まで移動し、一度全身を海に入ってから上陸する「ウェットランディング」を行いました。写真を見ると、ただくつろいでいるだけのように見えるかもしれませんが、遊んでいるわけではありません。10月末にもかかわらず気温は30度近く、風邪をひくことはありませんでした。上陸後は浜辺で着替えてから作業を行いました。
 上陸後の作業については次回紹介しようと思います。

【参考】
・国土地理院HP「西之島で噴火後初めての現地測量」

URL:http://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/sokuchikijun60020.html


・環境省関東地方環境事務所HP「小笠原諸島西之島の保全のための上陸ルールの策定について」
URL:http://kanto.env.go.jp/pre_2016/post_82.html

固定翼UAVで撮影した西之島空中写真(平成28年7月撮影)

測量船「昭洋」

器材の防疫作業中の筆者

ゴムボートに乗り換えて西之島の浜辺へ移動中

上陸前に海水で全身を洗浄中の筆者(ウェットランディング)

 

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~後編・上陸後の測量作業~

測地部 測地基準課 大森さん

2016年12月21日公開→Facebookで見る

 こんにちは、リクサポです。
大きな反響をいただいている先週の投稿に引き続き、西之島での現地測量について、測地基準課の大森さんにお話を伺います。
 今回は【~後編・上陸後の測量作業~】です。大森さん、どうぞ!

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 こんにちは。測地部測地基準課の大森です。
 前回に引き続き西之島の基準点設置作業について紹介します。

 今回の作業では、噴火前からあった西之島旧島のうち、溶岩に覆われずに残った部分に一等三角点を、噴火により新たに形成された島の南側に三等三角点をそれぞれ設置しました。設置した三角点の位置を測るためにGNSS受信機を設置し、周囲に対空標識を設置しました。対空標識とは、空中写真を撮影し地図を作成する際、三角点の位置を写真上で判別するための目印となるものです。また、三角点の標高を測るために水準測量や験潮作業を実施しました。
 
 当初の計画では島の北側に三等三角点をもう1点設置する予定でしたが、作業期間中島の北岸は常に波が荒く、上陸ができない状態でした。また、日がたつにつれ海洋の状況が悪くなり、上陸作業が行えず船で待機する日もありました。作業が思うように進まない中、11月5日に台風23号が発生して今後の作業が困難になったため、一部作業が完了しないまま予定より2日早い11月8日に東京へ帰港することとなりました。
 
 西之島が噴火した時、私はまだ学生でしたが、その時はまさか自分がそこへ上陸することになるなんて思ってもいませんでした。上陸した西之島は岩がごろごろ転がっており、器材を担いでの移動や作業はなかなか大変でした。一方で長い間噴火活動があったにもかかわらず西之島旧島の部分には植生や鳥、昆虫といった生物が見られ、生命の力強さを感じました。
 当初計画していた作業を完了させるため再度島へ上陸する予定です。

三等三角点の設置完了!
これから基準点測量を開始します.
地面の白いマークが対空標識です
(筆者は写真右)

一等三角点を設置中

三角点の標高を決めるための水準測量

西之島旧島部分に生息していたアオツラカツオドリ

 

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