地域における連携の取り組み

平成27年度地理空間情報産学官中部地区連携協議会会合

 「平成27年度地理空間情報産学官中部地区連携協議会会合」を平成27年11月20日に、ウィルあいち(愛知県女性総合センター)にて、構成員16名、オブザーバー7名、国土地理院7名、計30名の出席で開催しました。

議事概要

◆「議題の背景と論点」 協議会事務局
 地方公共団体では、予算的な問題から、2500レベル地図(地図情報レベル2500の数値地形図及び2500分の1地図をいう。以下同じ。)を効率良く整備・更新ができないといった状況が顕在するため、「2500レベル地図の効率的な整備・更新とこれに係るコスト削減」を議題に設定。論点として、新しい技術動向等を踏まえた将来の地図作成の効率化を提示し、技術的な課題の明確化を期待する旨を説明。

◆「防災・減災・災害時対応における地図データ活用の事例紹介」 岐阜大学
 防災分野での地図の役割を示すものとして、旧版地図等を用いた津波災害危険地域における人口分布・土地利用変化の分析の研究、災害時支援システムによる地図と紐付けた罹災証明書の発行等に関する支援、不動産登記法第14条第1項に規定される地図に基づく災害復旧・復興等の事例紹介。

◆「効率的な地図作成に関する最新の研究」 国土地理院基本図情報部
 国土地理院による衛星画像を用いた地図作成に関する研究から実現された北方四島・離島の2万5千分1地形図修正、地図情報レベル5000の災害復興計画基図作成等の紹介。また、「地上画素寸法30cm級の衛星画像を用いた地図作成に関する官民共同研究」として、衛星画像から作成した図化データが地図情報レベル2500に該当するかを技術的観点から評価する、最新の取組について紹介。

◆「衛星画像等の民間測量成果を活用した地図作成について」 NTT空間情報株式会社
 衛星画像について、地図の作成と修正に利用する製品・技術動向、解像度と作成可能な地図情報レベルや、地図作成における位置精度等の観点から見た、空中写真と衛星画像のそれぞれのメリットとデメリットの比較について紹介。

◆「2500分の1レベルの地図情報の必要性について」 静岡県
 県内は、都市計画区域が概ね沿岸に限られ、ほとんどが都市計画区域外であり、その多くは中山間地域を占める。自然災害の発生や南海トラフ巨大地震の想定震源域は、他県も含め都市計画区域外にその範囲が及んでいる。これらの災害対応に必要となる、都市計画区域以外における2500レベル地図の整備が、静岡県だけではなく、全国の課題と考えている、と報告。

主な意見

・2500レベル地図の作成に利用する衛星画像として、地物・地形に変化がみられるところだけを販売することで、単価は少し高くなるかもしれないが、データの購入全体では安いといった販売モデルもあり得るのではないか。
・災害対策の点では、山間地の地形情報も重要だが、道路や、河川周辺だけを2500レベルの精度で作成して、残りは必要に応じて実施するといったことも有効かもしれない。

 最後に、事務局からの来年度の開催提案が了承されました。また、後日実施するアンケートへの協力依頼を行い、会合を終了しました。

挨拶する中部地方測量部長   「効率的な地図作成に関する最新の研究」について説明する山田地図情報技術開発室長補佐   会合の様子
挨拶する中部地方測量部長   「効率的な地図作成に関する最新の研究」について説明する山田地図情報技術開発室長補佐   会合の様子