2007年スマトラ島南部沖地震 SAR加色混合法によるパガイ島の上下変動

作成:2007.10.01 更新: 2007.10.08 ENGLISH

 2007年9月12日の地震(Mw8.4)を起こした震源断層の運動に起因した上下変動がどの地域で見られたかを調査するため,加色混合法によるSAR画像の分析を行いました。
 図で,赤(R:Red)のところが,地震後に隆起した場所です。水色(GB:Cyan)が沈降を示しますが,この図には見あたりません。
2004年・2005年のスマトラ沖地震の際にも,人工衛星データを使った地殻変動解析の際には,沈降を赤で,隆起を水色で表示していましたが,今回から,逆にしました。

【震源断層との関係】
 震源から150km以上離れているにもかかわらず,南パガイ島(Pulau Pagai Selatan)の南半分でだけ,隆起が見られます。このことから,震源断層の北端はこの近くまで,到達していることがわかります。
 この上下変動データは,震源断層の位置を推定するのに非常に役立ちます。

【潮位差】
 この方法で,上下変動を分析するには,2回のデータ取得時における潮位が同じであることが理想的です。
 今回,潮位差はわずか2cmしかなく,理想的な状況と言えます。

南パガイ島南端部の拡大図

 2007年スマトラ島南部沖地震に伴う隆起によって、珊瑚礁や砂浜が海面上に姿を現し、最大約500m幅の離水海岸が形成されました(左下の島)。隆起によって,小島が島と陸続きになった様子も見えます(右上)。小島が6つほど誕生しました。
 震源域の北端は,この付近まできているでしょう。

分析に使用した人工衛星 と センサー

日本の地球観測衛星 「だいち」(ALOS)に搭載されたPALSARセンサー

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