平成17年2月~3月の地殻変動について

発表日時:2005年4月11日(月)16時00分

全国の地殻変動概況

 別紙1~7は、国土地理院が全国に展開しているGPS連続観測網の観測結果から求めた2005年2月上旬から3月上旬の1ヶ月間の地殻変動を表したものです。この期間において、目立った変動は見られません。


トピックス

  • 平成17年3月20日(日)10時53分頃に福岡県西方沖で発生した地震(マグニチュード7.0)について、電子基準点(GPS連続観測点)のデータを解析した結果、電子基準点「福岡」が南西へ約18cm、電子基準点「前原」が南へ約9cm移動していることなど、福岡県を中心に地殻変動が認められました。
  • この地殻変動から、北西-南東方向に長さ約25km、幅約15kmの断層が約0.75m滑った断層モデルが推定され、本震直後の余震域ともほぼ対応します。この断層運動から導かれるモーメントマグニチュードは約6.5となりました。
    電子基準点「福岡」では本震直後にわずかな余効変動があったように見えます。
    なお、3月25日以降、機動観測点「海の中道」で機動観測を開始しましたが、設置以降この観測点では特段の変動は観測されていません。
    別紙8[PDF形式:60KB], 別紙9[PDF形式:117KB]
  • 浅間山周辺の嬬恋-東部基線では、昨年10月の後半以降、ゆるやかな伸びの傾向が見られます。なお、嬬恋-東部基線に見られる伸びの傾向は、昨年の春頃から始まり、9月初めの噴火以降停滞していましたが、10月の後半頃から再び伸び始めたように見えます。この伸びの速度は、9月の噴火以前に見られたものと同じ程度に見えます。
  • 別紙10[PDF形式:203KB]
  • 東海地域とその周辺では、昨年9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震(マグニチュード7.4)に伴い東海地域でも地殻変動が広範囲に観測されました。地震に伴うステップ状の変動を取り除いた結果には東西成分の動きにこれまでと異なったものが見えています。この原因としては、9月5日の紀伊半島南東沖の地震の余効変動等の可能性が考えられます。
  • 別紙11[PDF形式:114KB], 別紙12[PDF形式:58KB], 別紙13[PDF形式:180KB], 別紙14[PDF形式:56KB]
  • 桜島周辺では、昨年11月以降、桜島及び錦江湾周辺のGPS観測点が、桜島及び錦江湾からやや放射状に遠ざかるような変動が見られましたが、最近、鈍化しているように見えます。
  • 別紙15[PDF形式:144KB]

問い合わせ先

国土地理院
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
測地観測センター      地震調査官        畑中  雄樹 (029-864-4825)
地理地殻活動研究センター  地理地殻活動総括研究官  村上  亮  (029-864-2477)
地理地殻活動研究センター  地殻変動研究室長     今給黎 哲郎 (029-864-6925)

補足説明

  • 全国の1年間の地殻変動(2004年3月上旬から2005年3月上旬、別紙16)[PDF形式:68KB]
    • 北海道に見られる変動は平成15年(2003年)十勝沖地震後の余効変動、並びに昨年11月29日及び12月6日に発生した釧路沖の地震によるものです。また、昨年12月14日の留萌支庁南部の地震に伴う地殻変動が北海道北西部地域に見られます。
    • 関東地方から中国・四国地方にかけて、昨年9月5日に発生した東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震に伴う地殻変動が見られます。
    • 昨年10月23日に発生した平成16年(2004年)新潟県中越地震に伴う地殻変動が新潟県周辺に見られます。
    • 硫黄島に見られる大きめの変動ベクトルは、島内での長期的な地殻変動を表しています。
    • その他の地方では、プレート運動による定常的な変動が見られます。

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