最終更新日:2024年3月28日

プレート運動による地殻変動の補正(定常)

セミ・ダイナミック補正

測量に利用される基準点は地殻変動の影響により、実際の地球上の位置と測量成果の示す座標値が時間とともにずれていきます。

位置情報(緯度、経度、標高)の均一な精度を長期的に維持するため、測量計算の際に一様でない地殻変動による歪みの影響を補正するのがセミ・ダイナミック補正です。 これにより、利用者に安定した位置情報が提供できるようになります。
セミ・ダイナミック補正に用いる地殻変動補正パラメータは、令和3年4月1日から測量成果に位置づけられています。
公共測量の対応はこちらをご参考ください。

2024年3月28日更新

「地殻変動補正パラメータ.2024」を2024年3月28日に公開しました。(パラメータファイルのダウンロード
適用期間は、2024年4月1日から2025年3月31日です。

2023年3月29日更新

「地殻変動補正パラメータ.2023」を2023年3月29日に公開しました。
適用期間は、2023年4月1日から2024年3月31日です。

2022年4月4日更新

公開を一時停止しておりました、地殻変動補正パラメータファイル「SemiDyna2022.par(ヘッダー情報Ver.1.0.0)」の修正が完了し、提供を再開いたしました。
ご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます。

2022年4月4日更新

地殻変動補正パラメータファイル「SemiDyna2022.par(ヘッダー情報Ver.1.0.0)」にフォーマットの誤りがあったため、現在、公開を一時停止しております。
誤りのあるファイルの公開期間は、2022年3月31日18:30~4月4日11:00です。
ファイルの修正が完了した後に改めて提供再開のご案内をいたします。

2022年3月31日更新

「地殻変動補正パラメータ.2022」を2022年3月31日に公開しました。
適用期間は、2022年4月1日から1年間となりますのでご注意ください。
現在一般に公開されている測量成果(測地成果2011)は、 次の基準日の位置情報に基づいて算出されています。
地殻変動によりひずみが蓄積する
  1. 2011年5月24日が基準日の地域
    青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都(島しょを除く。)、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県及び岐阜県

  2. 1997年1月1日が基準日の地域
    上記以外の地域
セミ・ダイナミック補正では、 測地成果2011の基準日を測量成果の「元期(げんき)」 と呼んでいます。

 元期において高い精度で求められた基準点の座標値は、 地殻変動のために年々その精度が劣化していると考えられます。 2つの既知点を結ぶ基線長のひずみ量は次式で与えられ、 時間の経過や基線長に比例して大きくなることが分かります。

歪み量の計算式

 一方、元期に対して観測を行った時点を「今期(こんき)」と呼びます (今期は「年度単位」としています。)。

 測量成果(元期の基準点の位置座標)と今期の基準点の位置座標の乖離(かいり)が進み 地殻変動によるひずみが蓄積すると、 測量計算に影響を及ぼすと懸念されます。

三角点を既知点とする測量の場合

三角点を既知点とする測量の場合

三角点を使用した測量

作業規程の準則 第22条 では、1級基準点測量における既知点間距離は4000メートルを標準と しています。 このため左図で示されるような三角点を既知点とする 狭い範囲の測量を行う場合、地殻変動によるひずみの影響はそれほど問題になりませんでした。 既知点間の距離が短い場合、既知点間の相対的な変動量も小さいため ほぼ「平行移動」と見なすことができるからです。

左図は、三角点A、Bを既知点として新点Cを求める場合を表しています。 約0.2ppm/yearのひずみ速度を仮定すると、既知点間距離が4000メートルの場合、元期から 10年経過したときの既知点間距離の相対的な変動量は約8ミリメートルです。

これは、許容されている測量誤差(※)と比べて小さいため、 測量計算に与える影響は比較的少ないと考えられます。

TS等による点検計算の許容範囲

作業規程の準則 第42条より TS等による点検計算の許容範囲

(※参考:作業規程の準則 第42条より)

電子基準点を既知点とする測量の場合

電子基準点を使用した測量

 世界測地系への移行後、1級基準点測量では電子基準点のみを既知点として 測量を行うことができるようになりました。この場合、既知点間距離の制限は適用されません。

電子基準点の平均的な間隔を25キロメートル程度とすると、 地殻変動による平均のひずみ速度は約0.2ppm/yearなので、 電子基準点間には10年間で約50ミリメートルの相対変動が蓄積することになります。

左図は、電子基準点A、Bを既知点として新点Cを求める場合を表しています。 この場合、電子基準点間の閉合差の許容範囲(※)は88ミリメートルです。

現在のところ地殻変動による相対変動は許容範囲内ですが、 このままひずみが累積すると、やがて良好な観測を行っても 閉合差が許容範囲を超えると考えられます。 このような状況で網平均計算を行っても、精度の良い結果は得られません。
  

電子基準点を既知点とする測量の場合の電子基準点間の閉合差の許容範囲

(参考:作業規程の準則 第42条 より)

既知点間距離が長いほど、地殻変動によるひずみが測量計算に及ぼす影響が 大きいと考えられるため、 電子基準点のみを既知点とする測量を対象とします。
基本測量
  • 電子基準点の成果計算
  • 高度地域基準点測量
  • 国土調査に伴う基準点測量
  • 三角点改測、復旧測量
公共測量
  • 基準点測量のうち、 電子基準点(付属標を除く)のみを既知点として用いる測量

地殻変動補正パラメータファイルセミ・ダイナミック補正に必要なもの

セミダイナミック補正マニュアル
  • 測量法第34条で定める「作業規程の準則」
測量目的に応じた作業規程を作成するための標準的な規準であり、 電子基準点のみを既知点とする1級基準点測量に適用する セミ・ダイナミック補正についても明文化されています。
作業規程の準則のページからダウンロードできます。

 セミ・ダイナミック補正の方法や、地殻変動量の計算方法等、詳細は、 平成21年度に作成された国土地理院技術資料「公共測量におけるセミ・ダイナミック補正マニュアル」 をご参照ください。
地殻変動補正パラメータ例
  • 地殻変動補正パラメータまたはセミ・ダイナミック補正計算サイト
 ・地殻変動補正パラメータ
地殻変動補正パラメータ 全国の陸域をカバーする約5キロメートルメッシュの地殻変動量が記録されており、 セミ・ダイナミック補正に対応したソフトウェアと合わせて利用することで 任意の位置における地殻変動量を簡便に算出することができます。 パラメータは、こちらよりダウンロードできます。
 ・セミ・ダイナミック補正計算サイト [SemiDynaEXE]
地殻変動量の計算、すなわちセミ・ダイナミック補正の計算を簡便に行うために開発したサイトです。

標準的な補正手順

 ここで、測量計算にセミ・ダイナミック補正を適用する手順について説明します。
 3点の電子基準点を既知点として、新点1点を設置する場合について考えてみましょう。

基準点を新設する場合

  1. まず、既知点の測量成果を固定して、 基線ベクトル(今期の位置関係)基線ベクトルを求めます。
  2. つぎに、地殻変動補正パラメータを使って 既知点の測量成果元期電子基準点を今期の座標値今期電子基準点に補正します。
  3. 既知点の今期の座標値を固定して網平均計算を行い、 新点の今期座標値今期新点を求めます。
  4. 最後に、地殻変動補正パラメータを使って 新点の今期座標値を元期(1997年1月1日又は2011年5月24日)において 得られたであろう元期座標値元期新点に補正します。
こうして得られた新点の元期座標値を測量成果とします。
計算過程をまとめると、図のようになります。

標準的な補正手順の計算過程

セミダイナミック補正の計算過程

参考:その他の補正手順

  補正方法には2つの方法があります(下表参照)。

1つは、上記の「標準的な補正手順」で説明したように、既知となる基準点の位置情報に補正量を加え、測量計算(網平均計算)を行った後、 求められた新しい基準点の位置情報から補正量を差し引いて、 元期の位置情報に戻す方法です(下図参照)。  

もう1つは、今現在の測量で観測された結果(基線ベクトル)に補正を施し、 あたかも元期に測量した観測値として測量計算を行う方法です。

これら2つの方法は、いずれも元期に基づいた計算となるので、 今までに求められた測量成果をそのまま使用することができます。(基盤地図情報もそのまま使えます)
2つの補正方法
測量成果に補正する方法 測量結果(基線ベクトル)に補正する方法
既知点の測量成果(元期座標値)を補正し、
今期座標値を求める。

既知点の今期座標値を固定して
網平均計算

今期の新点位置情報を補正し元期に戻す

元期の新点位置情報が求まる
既知点の位置情報を元期に固定して
基線解析

求められた各基線ベクトルを補正する

既知点の測量成果(元期座標値)を固定し、
補正された各基線ベクトルを用いて
網平均計算

元期の新点位置情報が求まる
 
測量計算へのセミ・ダイナミック補正の適用には、これら2つの方法がありますが、 国土地理院では以下の理由により1つ目の方法(測量成果に補正する方法)を標準的な方法としています。
  1. 公共測量を含めた基準点測量にセミ・ダイナミック補正を無理なく導入することを考慮し、 複雑な方法を避け、より単純な方法を採用する。
  2. 世界測地系移行のための座標変換や地震時地殻変動に伴う座標値の補正等で、すでに実績のある 座標補正パラメータ方式のため、補正の考え方がすでに一般に浸透している。
  3. 点検及び検査する項目が少ないため、補正導入に伴うコストアップが避けられる。
  4. 座標値に補正する場合、観測点の座標値を今期又は元期に補正する「セミ・ダイナミック 補正計算サイト(Web版SemiDynaEXE)」を提供することで、既存の三次元網平均ソフトウェア等が そのまま利用できる。
地殻変動補正パラメータファイルは測量成果です。この使用に際しては、測量法の手続きが必要となります。
使用承認申請を行う際、「使用する測量成果の種類及び内容」に「地殻変動補正パラメータ」を記載してください。
 --- 測量法抜粋 ---
 (測量成果の使用)
 第30条
 基本測量の測量成果を使用して基本測量以外の測量を実施しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならない。

地殻変動補正パラメータファイル一覧

以下の順で記述します。

  1. パラメータファイル
  2. ヘッダー情報
  3. パラメータ範囲
  4. 備考
SemiDyna2024.par[ZIP形式:217KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2024年4月1日から2025年3月31日
「SemiDyna2024.par」は、基準年月日を2024年2月1日で作成しています。
SemiDyna2023.par[ZIP形式:216KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2023年4月1日から2024年3月31日
パラメータ作成範囲の見直しにより、パラメータファイルの行数が「SemiDyna2022.par」と比較して増加していますので、ご注意ください。
この見直しに伴う提供範囲の縮小はございません。
SemiDyna2022.par[ZIP形式:209KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2022年4月1日から2023年3月31日
2022年3月31日18:30から4月4日11:00までの間、データ部分のフォーマットの誤りがあるファイルが公開されていたため、計算プログラムに読み込めない場合があります。データの数値は変更ありません。
この間ダウンロードされた方はお手数をおかけしますが再度のダウンロードをお願いいたします。
SemiDyna2021.par[ZIP形式:211KB]
Ver.1.0.1
全国
適用期間:2021年4月1日から2022年3月31日(パラメータの名称変更に伴うヘッダー情報の更新)
6月30日19:00から7月1日15:30までの間、文字コードに誤りがあるファイルが公開されていたため、計算プログラムに読み込めない場合があります。この間ダウンロードされた方はお手数をおかけしますが再度のダウンロードをお願いいたします。
SemiDyna2021.par[ZIP形式:208KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2021年4月1日から2022年3月31日
2021年7月1日よりセミ・ダイナミック補正に使用するパラメータの名称を「時空間変位パラメータ.YYYY」から「地殻変動補正パラメータ.YYYY」に変更しました。この変更に伴い「SemiDyna2021.par(ヘッダー情報Ver.1.0.1)」を公開しました。
SemiDyna2020.par[ZIP形式:207KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2020年4月1日から2021年3月31日
SemiDyna2019.par[ZIP形式:207KB]
Ver.1.2.0
全国
適用期間:2019年4月1日から2020年3月31日
SemiDyna2018.par[ZIP形式:194KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2018年4月1日から2019年3月31日
SemiDyna2017.par[ZIP形式:191KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2017年4月1日から2018年3月31日
SemiDyna2016.par[ZIP形式:191KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2016年4月1日から2017年3月31日
SemiDyna2015.par[ZIP形式:190KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2015年4月1日から2016年3月31日
SemiDyna2014.par[ZIP形式:188KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2014年4月1日から2015年3月31日
SemiDyna2013.par[ZIP形式:186KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2013年4月1日から2014年3月31日
(北硫黄島、硫黄島、南硫黄島は提供範囲から除外しました)
SemiDyna2012.par[ZIP形式:184KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2012年4月1日から2013年3月31日
SemiDyna2011.par[ZIP形式:172KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間
電子基準点成果 改定地域:2011年3月11日(東北地方太平洋沖地震後)から2012年3月31日
電子基準点成果 非改定地域:2011年6月27日から2012年3月31日
SemiDyna2010.par[ZIP形式:185KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間(東北地方太平洋沖地震のため年度途中で変更になっております。)
電子基準点成果 改定地域:2010年4月1日から2011年3月11日(東北地方太平洋沖地震前)
電子基準点成果 非改定地域:2010年4月1日から2011年6月26日
東北地方太平洋沖地震前のパラメータは、元期は全国一律で「1997年1月1日」が基準日となっております。
SemiDyna2009.par[ZIP形式:183KB]
Ver.1.0.0
全国
適用期間:2009年4月1日から2010年3月31日
東北地方太平洋沖地震前のパラメータは、元期は全国一律で「1997年1月1日」が基準日となっております。
  • パラメータファイルは、2021年4月から「電子基準点日々の座標値(F5)」を基に作成しています(これ以前は「電子基準点日々の座標値(F3)」で作成)。
  • ダウンロードしたファイルは、ZIP形式ですので解凍してご利用ください。
  • 解凍後のパラメータファイル"SemiDyna20XX.par"はテキストファイル形式です。
※本ソフトウェア(SemiDynaEXEのインストールパッケージ)の提供は、2017年6月5日に終了しました。
詳細は、「ソフトウェア「TKY2JGD」「SemiDynaEXE」「PatchJGD」「PatchJGD(標高版)」の脆弱性及び提供終了に関するお知らせ」をご覧ください。
今後は、測量計算サイトSemiDynaEXEをご利用ください。