2万5千分1土地利用調査

概要

  • 1955(昭和30)年代、高度経済成長期における産業構造の変革と過度の都市への人口集中により、大都市及び周辺地域の土地利用形態が著しく変化しました。この結果、それまで行われていた農業的土地利用分類による土地利用図では、都市地域の現況表現に限界が生じました。
  • 1974(昭和49)年に設置された国土庁によって「国土利用計画法」と「土地利用基本計画」が策定され、諸計画策定のための基礎資科として国土情報整備事業を推進することになりました。また、この事業の一環として、土地利用図が作成されることになりました。
  • 国土情報整備事業では、全国の主要都市及び周辺地域を含む主要な平野部約90,000km2について2万5千分1土地利用図を当初4ケ年計画で整することになり、この事業を国土地理院が担当しました。事業の推進には、国土地理院で整備が進められていた2万5千分1地形図が基図として利用できるようになったことの効果が大きかったと言えます。
  • 2万5千分1土地利用調査事業は、国土計画基礎調査費により、新たに撮影したカラー空中写真を活用して行われ、1980(昭和55)年、約1,200面(柾判)を作成して終了しました。その後、本図の作成は国土地理院事業として1993(平成5)年まで実施され、1990(平成2)年からは宅地利用動向調査が実施されている三大都市圏以外の政令指定都市(当時)を対象に、一つの図葉にまとめた集成図(菊判)として作成しました。
  • 図の規格は、柾判で6色刷と菊版10色刷(表6色、裏4色)です。最終作成図葉は柾判1288面、菊判4面作成されました。

分類項目

 2万5千分1土地利用図の内容は、国土利用計画や都市計画等の策定に利用できるように、都市的土地利用を重視した表示となっています。例えば、都市部の利用区分を15区分にするなど、都市計画法の用途地域区分に合わせるようにしてあります。

 
2万5千分1土地利用図表示事項
地域区分 区分 定義 摘用範囲
都市集落
住宅地区
一般住宅地区 平屋、3階建以下の住宅を主とする地区をいう。 住宅等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
中高層住宅地区 4階以上の中高層の住宅団地等からなる地区をいう。 1.住宅及び施設の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.団地内の公園等で最小単位面積より大きなものは別に表示する。
商業業務地区 商業地区 商店を主とする地区をいい、娯楽・宿泊等のサービス業の施設を含む。 1.店舗等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.小売店舗、デパート、卸売、飲食店、公衆浴場、理髪店、劇場、映画館、キャバレー、ボーリング場、ホテル、館、レストラン、自動車販売、サービス所、その他これに類する施設。
業務地区 企業の事務的業務を行う社屋を主とする地区をいう。 1.会社の事務所等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.銀行、証券、保険、不動産業等の事務所、商社、新聞社、放送局、の他これに類するもの。
工業地区 工業地区 工場を主とする地区をいう。 1.工場の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.工場に付随する倉庫等は、工業地区で表示する。
公共地区 公共業務地区 裁判所、県庁、役所等、及び地方公共団体、公団、公社等の事務的業務を行う庁舎等からなる地区をいう。 1.施設の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.大公使館、電報電話局、専売局、農業協同組合、刑務所、その他これに類するもの。
文教地区 学校、研究所、博物館等、教育研究文化施設等からなる地区をいう。 1.施設の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.各種学校、研修所、幼稚園、試験場、公会堂、書館、美術館、水族館、教会、自動車教習所、その他これに類するもの。
厚生地区 病院、療養所、老人ホーム等医療福祉施設等からなる地区をいう。 1.施設等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.療養所、老人施設、心身障害者更正施設、児童福祉施設、その他これに類するもの。
公園緑地 公園、動物園、墓地、遊園地等、公共的性格を有する緑地等からなる地区をいう。 1.施設等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.植物園、庭園、史跡公園、神社、寺院、その他これに類するもの。
施設 運動競技施設 総合運動場、競技場、野球場等運動競技を行うための施設をいう。 1.施設等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.各種競技施設、乗馬施設、射撃場、プール、スケート場、競馬、競輪、競艇場、自動車競技場、ルフ練習場、その他これに類する施設。
運輸流通施設 駅、バスターミナル、倉庫、卸売市場、運輸流通業務を行うための施設をいう。 1.施設等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.電車車庫、自動車車庫、駐車場、ラックターミナル、飛行場、港湾施設、油槽場、材料集積場、貯木場、その他これに類する施設。
供給処理施設 発電所、配水場、ゴミ焼却場等、都市運営に必要な供給及び処理を行う施設をいう。 1.施設等の敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.変電所、ガス供給施設、浄水場、下水処理場、葬場、屠場、その他これに類する施設。
防衛施設 自衛隊、日米軍等の施設をいう。 施設等の敷地面積が、最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
空地 人工的に土地の整理が行われ現在利用されていない土地をいう。 敷地面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
改変工事中の区域 埋立、宅地造成、土石採集等人工的に土地の改変が進行中の区域をいう。 区域の面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
農地 水稲、い草、蓮等を栽培している水田をいい、季節により畑作物を栽培するものを含む。 田の面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
普通畑 麦、陸稲、野菜等を栽培している畑をいい、芝を栽培する畑を含む。 普通畑の面積が最小単位面積内において,50%以上を占めるもの。
果樹園 リンゴ、梨、ブドウ、ミカン等の果樹を栽培している畑をいう。 1.果樹園の面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.未成園、新植畑を含み、間作の有無を問わない。
桑畑 桑を栽培している畑をいう。 1.桑畑の面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.新植畑を含み、間作の有無を問わない。
茶畑 茶を栽培している畑をいう。 1.茶畑の面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.新植畑を含み、間作の有無を問わない。
その他の樹木畑 桐、ハゼ、コウゾ等、樹木を栽培している畑をいう。 1.その他の樹木畑の面積が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.新植畑を含み、間作の有無を問わない。
施設 牧場及び牧草地 もっぱら家畜の放牧飼育に供される土地及び牧草を栽培する土地をいう。 1.放牧地及び牧草地が最小単位面積内において、50%以上を占めるもの。
2.放牧地は、柵、土堤、または自然的な障害物で明確に区画されたものを表示する。
畜舎 牛、豚、鶏等を飼育するための畜舎をいう。 施設(建物)の規模の大きなものを表示する。
温室 野菜、花キ、果樹等を栽培するための恒久的な温室等の設備をいう。 1.施設の規模の大きなものを表示する。
2.野菜、花キ、果樹、観葉植物等を栽培するためのガラス室、温室及び軽量鉄骨等のビニールハウス等。
林地 針葉樹林 人工林 人工的に植栽された針葉樹を主とする林地をいう。 人工的に植栽された針葉樹が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
天然林 天然の針葉樹を主とする林地をいう。 天然の針葉樹が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
広葉樹林 広葉樹を主とする林地をいう。 広葉樹が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
混交樹木 針葉樹、広葉樹等が混在する林地をいう。 針葉樹、広葉樹等が最小単位面積内において、いずれも70%に満たないもの及びいずれにも属さないもの。
竹林 竹を主とする林地をいう。 高さ2m以上の竹が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
やし科樹林 やし科の樹木を主とする林地をいう。 やし科樹が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
はい松地 はい松及びわい松が蔓生する土地をいう。 はい松等が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
しの地 高さ2m以下の竹、笹の密生する土地をいう。 高さ2m以下の笹、竹が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
荒地 野草地 自然の草地からなる土地をいう。 荒地で野草が最小単位面積内において、70%以上を占めるもの。
裸地 露岩地、崩壊地、砂礫地等、植物で覆われていない土地をいう。 荒地のうちで野草地以外のもの。
界線 特定地区界 立入禁止区域、専用区域等、特別に他の地区と区別する必要のある地区を囲む界線をいう。 1.自衛隊用地、在日米軍用地、演習場、火薬庫等。
2.養魚場(養殖場・ふ化場)、各種演習林、各種試験場に付属する農場等。