その他の土地利用調査

土地利用調査の変遷

 これまでに国土地理院(前身である地理調査所を含む)で行われてきた土地利用調査の変遷についてご紹介します。

昭和21年-22年度 : 80万分1土地利用図の作成

 我が国における土地利用調査は、昭和21年3月に連合軍総司令部天然資源局から日本政府宛にだされた指令による作業で、国土地理院の前進である地理調査所が、第二次世界大戦後の荒廃した国土の開発、保全など戦後復興のための各種調査や計画の基礎資料とするために、国土実態図の一つとして「80万分1土地利用図」を作成したのが始まりです。
 この図は、5万分1地形図をもとにして、測図当時から経年変化の著しい桑畑については現地調査により、果樹園については航空写真により、また北海道については道庁に依頼して全面的に地類(植生)を修正して編纂されたもので、『日本土地利用図』として昭和22年に刊行されました。 図の内容は、一毛作田、二毛作田、普通畑、桑畑、茶畑、果樹園、森林、牧場、荒地、湿地、塩田の11区分、11色でその分布を表示したものでした。 この土地利用図作成作業は、戦後新たに導入された地理調査、主題図作成作業の先駆けとなったものです。

昭和24-25年度 : 試作図作成及び検討

 昭和24~25年度には、国土総合開発法(昭和25年公布)の開発計画用図を想定して、20万分1の縮尺で愛知、静岡地区で試作が行われ、検討の結果、具体的な地域計画には5万分1の縮尺で作成することが適切との結論となりました。

昭和26-41年度 : 5万分1土地利用図の作成

 昭和26~41年度には国土総合開発の調査事業の一環として、木曽川流域、利根川流域等でのサンプル調査を経て図式(昭和28年図式)と作業要領が整備され、全国の総合開発特定地域について「5万分1土地利用図」を作成しました。この土地利用図は、戦後の食糧増産、資源確保などに資することを目的としており、農林業主体の土地利用区分で作成されていました。これらの図は都府県からの委託により調査を行ったもので、図の印刷は当該の都府県によるものであったため未刊行となっていましたが、昭和42年度からは国土地理院の発行図として416面が刊行されました。

昭和36年度 : 北海道の20万分1土地利用図作成

 昭和36年度には、北海道開発庁により「20万分1土地利用図作成」が計画され、国土地理院により5年で12面が作成されました。この図は昭和42年度に北海道開発庁により『北海道土地利用図集』として刊行されました。

昭和40年度-43年度 : 調査内容の見直し

 昭和40年~43年度には、国土開発の進展に伴って初期の開発特定地域から新産業都市、大都市圏へと調査対象地域が変わってきたことから、土地利用図の内容の全面的な見直しが行われ、従来の農業的土地利用から都市的土地利用に調査内容の転換が図られました。

昭和44年度-47年度 : 計画基礎図としての5万分1土地利用図の作成

 昭和44年度~47年度まで、大規模開発プロジェクトが計画された地域の計画基礎図としての「5万分1土地利用図」が作成されました。国土総合開発事業調整費により大阪湾・紀伊水道、瀬戸内沿岸・西瀬戸、琵琶湖、秋田湾地域で50面、中部圏特定開発事業推進調査費により伊那地域で7面が作成されました。