2004年スマトラ島沖地震・インド洋津波 ニコバル諸島における地震・津波に伴う海岸線変化
衛星レーダ画像(ERS-1/2)によるニコバル諸島の海岸線変化(沈降)解説 図はERS-1及びERS-2衛星が1992年12月27日(地震前)と2005年01月12日(地震後)に撮影したニコバル諸島(インド)のデータから作成したレーダー反射強度変化を表す画像です。反射強度は、表面の粗度(滑らかさ)に依存します。例えば、水面の反射強度は小さく、画像上で黒く表されます。
地震前後の画像の色を変換した後、加色混合法を用いて反射強度の変化を表しました。 赤色で示した部分は地震後に反射強度が減少した地域であり、主に大ニコバル(Great Nicobar)島の西部の海岸線に分布しています。特に、濃い赤色部分は、地震の断層運動により生じた地殻の沈降を示しています。 大ニコバル島最南端のIndira Point灯台(右図参照)は、2004年スマトラ島沖地震に伴う地殻変動によって「約4m沈降し、灯台の基礎部分が水没したという報告」があります。上記の変化抽出判読画像からも島最南端の灯台付近の海岸が約600mの幅で水没(沈水)しているのがわかります。
オリジナルのレーダー画像を使った変化抽出画像では、海面や陸上で、赤または水色になっている場所が見られますが、波の高さや地表面の状況の変化により、反射面の滑らかさが変化したこと等に起因しています。今回のように、海岸線変化抽出が目的の場合には、海岸に着目し、反射強度の変化を調べます。 シムルエ島の画像の場合には、海面は黒いのに、こちらの画像では黒くありません。このような違いは、レーダー電波の入射角と偏波に起因しています。入射角が小さいほど、海面からの反射強度は強くなります。また、偏波がHHよりもVVの方が海面からの反射強度が大きい性質があります。ここで使用したレーダー画像は、入射角が小さい上、VV偏波なので、海からの反射が無視できず、今回のような海岸線変化抽出には不向きな条件となっています。 しかし、人間が会話的に海岸線を判読し、海面部分を黒く塗りつぶす作業(所要時間:約2日)を丹念に行うことにより、海岸線変化判読図を作成しました。 レーダー画像諸元と潮位ここで使用したレーダー画像は、ESAのERS-1及びERS-2衛星搭載のSARセンサーが取得したものです。
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