2016年2月6日台湾の地震に伴う地殻変動

合成開口レーダー(SAR)解析による地殻変動

作成:2016年3月3日 English version of this page

地殻変動の特徴

2016年2月6日に台湾でMw 6.4(USGS)の地震が発生しました。地震に伴う地殻変動を把握するため、日本の地球観測衛星「だいち2号」(ALOS-2)に搭載された合成開口レーダー(PALSAR-2)のデータを使用してSAR干渉解析を行いました。

2016年2月18日までに観測されたデータから、以下のことがわかりました。
  • 西側上空からの観測では震央の西側で衛星に近づく向きの変動(図1)、東側上空からの観測では震央付近で衛星から遠ざかる向き、西側では衛星に近づく向きの変動(図2)が見られます。
  • 2.5次元解析の結果(図3、4)では、震源付近で最大約6cmの沈降及び最大約10cmの西向きの変動、震源の西側約20km付近を中心に最大約12cmの隆起、最大約8cmの西向きの変動が見られます。
  • 北緯22.97°東経120.33°付近を中心とする南北約10km、東西約2kmの領域では、周囲とは異なる東向きの変動が見られます(図4)。

なお、より詳細な分析等により、今後内容が更新されることがあります。

干渉画像

(画像をクリックすると拡大表示できます。)

画像:図1北行干渉画像
図1 [PNG: 912KB]

画像:図2南行干渉画像
図2 [PNG: 925KB]

番号
観測日 観測時間
(UTC)
衛星
進行
方向
電波
照射
方向
観測
モード
*1
入射角
(震央)
垂直
基線長
KMZ
1 2015年11月26日
2016年02月18日
15時57分頃 北行 F-F 31° +194m 1.92MB
2 2016年01月31日
2016年02月14日
03時47分頃 南行 W-W 46° -205m 1.04MB

*1 F:高分解能(10m)、W:広域観測(Normal)
(参考: ALOS-2プロジェクト/PALSAR-2(JAXA)

解析:国土地理院   原初データ所有:JAXA
本成果は、地震予知連絡会SAR解析ワーキンググループの活動を通して得られたものです。

変動の準上下成分及び準東西成分

(画像をクリックすると拡大表示できます。)

画像:図3準上下成分
図3. 準上下成分 [PNG: 792KB]

画像:図4準東西成分
 図4. 準東西成分 [PNG: 823KB]

【2.5次元解析】
複数の方向からの観測データによる干渉画像を利用して、変動を準上下・準東西方向に分離することができます。

画像:図5 2.5次元解析の概念図
図5. 2.5次元解析の概念図

地震概要

地震発生日時 2016年2月6日 3時57分(現地時間)、4時57分(JST)
2016年2月5日 19時57分(UTC)
震源位置 22.939°N、120.593°E、深さ23.0 km (USGS、2016年3月3日現在)
マグニチュード Mw=6.4 (USGS、2016年3月3日現在)
死者 117人(2016年3月3日現在)

分析に使用した人工衛星

日本の地球観測衛星 「だいち2号」(ALOS-2)

広報・講演・論文発表

国土地理院(2016)、台湾の地震、地震予知連絡会会報、第96巻、452-453. [PDF: 1.2MB]

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