4. 火山活動を捉える

日本には多数の火山が存在します。火山噴火による被害を減少するためには、事前の避難計画の他、火山活動に伴う地殻変動を捉えることが重要です。
国土地理院では様々な解析技術を駆使して火山活動に伴う現象を捉えます。

火山活動に伴う地殻変動の監視

電子基準点による日々の観測の他、活動的な火山では、REGMOS(可搬型GNSS連続観測装置)を設置し、地殻変動の監視を強化しています。
2000年の有珠山噴火では、噴火前から地殻変動データを火山噴火予知連絡会や現地対策本部等に提供し、活動の推移を判断するための重要な情報のひとつとして、地域住民の迅速な避難誘導等の減災に役立ちました。
有珠山近傍の電子基準点と噴火の様子と電子基準点が捉えた地殻変動の解析結果
(左)有珠山近傍の電子基準点と噴火の様子(北海道新聞 平成12年4月1日撮影)
(右)電子基準点が捉えた地表面の変化

2011年の霧島山新燃岳噴火においては、周辺地域の電子基準点で地殻変動が検出されました。噴火の約1年前からマグマ上昇に伴う山体膨張が、噴火直後にはマグマ放出に伴う山体収縮が観測されました。
噴火後に再び観測された山体膨張は直ちに政府の災害会議等に報告され、火山活動の推移の予測に活用されました。

電子基準点が捉えた地殻変動(電子基準点が捉えた地殻変動(霧島山新燃岳))

活火山の微小な変動を捉える

干渉SARによって得られる多数のSAR干渉画像を統計処理し計測精度を高める、干渉SAR時系列解析により、火山活動に伴う地殻変動の監視を行っています。
この解析により、口永良部島、焼岳などで、従来の手法では検出することが難しかった微小な地表の動き(大きさ、範囲)が明らかになりました。
これらの結果は地理院地図で公開しています。

口永良部島における干渉SAR時系列解析の例(山頂部の収縮を検出している例)
「干渉SAR時系列解析」で捉えられた山頂部の収縮(鹿児島県口永良部島の例)

合成開口レーダー(SAR)による噴煙下の地形情報取得

【霧島山(新燃岳)噴火平成23年1月26日】
火山の火口などで噴煙が上がって写真撮影ができない場合でも航空機に搭載したレーダー(SAR)からマイクロ波を照射して、地表の状況を把握することができます。

SARによる霧島山(新燃岳)噴火口の様子及び地表面の変化
(左)SAR画像で見る霧島山(新燃岳)火口の様子  (右)SAR解析から明らかになった地表面の変化