準天頂衛星による高精度測位補正に関する技術開発
プロジェクトの目的と概要
技術開発の目的
衛星測位技術は、サービス範囲が広域であることから、交通・防災・測量・国土管理等の分野への利用が期待されている。カーナビゲーションに利用されているGPSは衛星測位システムとして現在広く用いられているが、都市部や山間部等で衛星からの電波が受信できない地域が多数存在する上、衛星単独の測位精度も10数メートルと、車両の運行管理、障害者の歩行支援等には不十分である。
これらの課題は、仰角70°~80°付近(準天頂)を通過する軌道を有する測位衛星を整備することによって解消することができる。総合科学技術会議においても、関係省庁・宇宙研究開発機関・民間の適切な役割分担の下、質の高い測位情報の提供が可能となる準天頂衛星システムの開発・整備を推進することが決定されている。
本プロジェクトでは、準天頂衛星システムの利活用による、国内のほとんどの地域でセンチメートル級の測位を可能にする高精度測位サービスの実現と、高精度測位技術の移動体への適応を実現するための研究開発を行い、国民生活の安全性、利便性の向上に資するとともに、民間活力の活用による新産業創出等の経済活性化に貢献することを目標とする。
これらの課題は、仰角70°~80°付近(準天頂)を通過する軌道を有する測位衛星を整備することによって解消することができる。総合科学技術会議においても、関係省庁・宇宙研究開発機関・民間の適切な役割分担の下、質の高い測位情報の提供が可能となる準天頂衛星システムの開発・整備を推進することが決定されている。
本プロジェクトでは、準天頂衛星システムの利活用による、国内のほとんどの地域でセンチメートル級の測位を可能にする高精度測位サービスの実現と、高精度測位技術の移動体への適応を実現するための研究開発を行い、国民生活の安全性、利便性の向上に資するとともに、民間活力の活用による新産業創出等の経済活性化に貢献することを目標とする。
技術開発の概要
1.準天頂衛星システムの精密測量への応用技術の研究開発
準天頂衛星等の、次世代衛星システムを用いた精密測量の応用技術について模擬実験をする「衛星測位システムシミュレータ」を開発し、これを用いた測量精度評価をもとに、精密測量作業規程(案)を策定する。
2.次世代電子基準点に関する研究開発
次世代衛星システムに対応した次世代の電子基準点の仕様(案)を策定する。また、GPS衛星を用いてセンチメートル級の高精度測量を短時間で実現するための高精度測位補正情報を生成・配信する技術開発を行う。
3.準天頂衛星からの補正情報による測位の問題点の洗いだしを行うため、準天頂衛星の運用開始前まで、準天頂衛星からの配信を模した補正情報による精密測量への実況精度に関する確認を行うとともに、精密測量に関する作業規程(案)の準備を行い、衛星打上げ後は、開発した高精度測位補正情報生成・配信技術(精密測量等向け)を用いた測位に関する実証実験を行う。
準天頂衛星等の、次世代衛星システムを用いた精密測量の応用技術について模擬実験をする「衛星測位システムシミュレータ」を開発し、これを用いた測量精度評価をもとに、精密測量作業規程(案)を策定する。
2.次世代電子基準点に関する研究開発
次世代衛星システムに対応した次世代の電子基準点の仕様(案)を策定する。また、GPS衛星を用いてセンチメートル級の高精度測量を短時間で実現するための高精度測位補正情報を生成・配信する技術開発を行う。
3.準天頂衛星からの補正情報による測位の問題点の洗いだしを行うため、準天頂衛星の運用開始前まで、準天頂衛星からの配信を模した補正情報による精密測量への実況精度に関する確認を行うとともに、精密測量に関する作業規程(案)の準備を行い、衛星打上げ後は、開発した高精度測位補正情報生成・配信技術(精密測量等向け)を用いた測位に関する実証実験を行う。
技術開発全体の工程
本プロジェクトの工程概要は以下に示す表のとおりである。
当初プロジェクトに実施期間は平成15年度~平成19年度の5年間であったが、平成18年3月に新たに「準天頂衛星システム計画の推進に係わる基本方針」が出されて、”準天頂衛星実機の実験を行う”ことなどが盛り込まれプロジェクトの期間が平成22年度まで延長された。また、平成19年5月には、「地理空間情報活用推進基本法」が制定され、衛星測位に係る研究開発並びに技術及び利用可能性に関する実証が推進された(第21条)。
当初プロジェクトに実施期間は平成15年度~平成19年度の5年間であったが、平成18年3月に新たに「準天頂衛星システム計画の推進に係わる基本方針」が出されて、”準天頂衛星実機の実験を行う”ことなどが盛り込まれプロジェクトの期間が平成22年度まで延長された。また、平成19年5月には、「地理空間情報活用推進基本法」が制定され、衛星測位に係る研究開発並びに技術及び利用可能性に関する実証が推進された(第21条)。
年度 | 計画等 | 実績等(主な技術開発・実験) | |
平成15 | 当初の期間 |
計画・調査等 | ・シミュレータプロトタイプ版完成 ・補完機能の効果等評価 |
平成16 | ・シミュレータ補強版完成 ・衛星利用配信確認 |
||
平成17 | 技術開発及び 実証実験 |
・補正情報S帯1Mb仕様作成 | |
・準天頂衛星システム計画の推進に係る基本方針 [PDF形式 :21KB] | |||
平成18 | ・L帯プロトタイプ完成 ・衛星測位シュミレータ要件定義 |
||
平成19 | ・地理空間情報活用推進基本法 | ||
・L帯改良版完成 | |||
平成20 | 延長期間 | 技術開発及び 実証実験 |
・静止衛星による実証実験 ・送受信・測位率等確認 |
平成21 | |||
平成22 | ・準天頂衛星実機による実証実験 ・マニュアル(素案)・報告書 |
技術開発の効果
衛星測位シミュレータを用いた検討によりGPS補完効果による観測条件の緩和の可能性を示し、開発した測位補正技術により、実際に測量作業が可能なことを実証し、測量作業マニュアル素案を作成した。 現在、GPS を利用した高精度測位方式として、ネットワーク型RTK法が普及しているが、山間部等の携帯電話サービスエリア外等では補正情報の通信が行えないためリアルタイムに利用できない状況にある。今回開発した測位補正方法は、補正情報の通信に準天頂衛星の放送機能を使用し、ほぼ全国どこでも信号受信が可能である。測位可能地域の拡大や交通・防災・測量・国土管理等の分野への利用が期待できる。
準天頂衛星システムのイメージ図
準天頂衛星システムのイメージ図
準天頂衛星による高精度測位補正に関する技術開発報告書
- 「国土交通省公共測量作業規程における基準点測量のスタティック法についての運用基準(案)- 準天頂衛星システムのGPS補完効果に関して -」
- 「準天頂衛星から配信される補正情報を用いた準スタティック法による公共測量作業マニュアル(素案)」
- 「準天頂衛星による高精度測位補正情報の生成・配信に関する技術開発システム全体の概要説明書」
- 「準天頂衛星による高精度測位補正情報の生成・配信に関する技術開発アルゴリズム詳細説明書」