令和5年4月の地殻変動

発表日時:2023年5月11日(木)16時00分

全国の地殻変動概況

 国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた、2023年3月中旬から2023年4月中旬までの1か月間の地殻変動概況は、別紙1~7のとおりです。東北地方を中心に、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
 火山周辺では、硫黄島において地殻変動が見られます。

トピックス

  • 四国中部では、2019年春頃からそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙8)
  • 九州南部では、2023年初頭からそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙9)
  • 石川県能登地方では、2020年12月頃から「能都」で南南西方向の変動が、「珠洲」で隆起が見られるなど、この地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されています。(別紙10)
  • 浅間山では、「東部」―「S浅間山1」等の基線で2023年3月頃からわずかな伸びが見られます。(別紙11)
  • 硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が、「硫黄島2」で南向きの変動が継続しています。(別紙12)
  • 西之島では、だいち2号によるSAR干渉解析結果によると、火砕丘及びその周辺の広い範囲に非干渉領域が見られます。(別紙13)
  • 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「鹿児島郡山」-「鹿児島福山」等の基線で、2023年1月頃からわずかな伸びが見られます。桜島島内の「桜島」-「鹿児島2」等の基線で、2023年1月頃からわずかな伸びが見られます。(別紙14)
  • 薩摩硫黄島では、「鹿児島三島」で2023年1月頃から西向きのわずかな変動が見られます。(別紙15)
  • 諏訪之瀬島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙16)

期間外

  • 5月5日に発生した石川県能登地方の地震に伴う地殻変動が観測されました。GNSS観測によると可搬型GNSS連続観測装置(REGMOS)「M珠洲笹波」で南西方向に9cm程度(暫定値)、電子基準点「珠洲」で西南西方向に2cm程度(暫定値)の水平変位、REGMOS「M珠洲狼煙」では13cm程度(暫定値)の隆起が見られるなど、能登半島で地殻変動が観測されました。(別紙17)
  • また、だいち2号によるSAR干渉解析結果によると、珠洲市北部で最大20cm程度の隆起、最大10cm程度の西向きの変動(暫定値)が見られます。山地等では局所的な変動も見られます。(別紙18)

補足説明

  • 全国の1年間(2022年4月中旬から2023年4月中旬まで)の地殻変動からは、以下のような傾向が見られます。(別紙19)
    ・東北地方を中心とした広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
    ・硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
    ・その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。

別紙一覧

出典

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(出典記載例) 「出典:国土地理院」

問い合わせ先

国土交通省国土地理院
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
(可搬型GNSS連続観測装置(REGMOS)及び電子基準点による地殻変動に関すること)
測地観測センター            地殻監視課長              芝 公成 (029-864-5971)
地理地殻活動研究センター      地理地殻活動総括研究官      矢来 博司 (029-864-2477)

(だいち2号観測データの干渉解析による地殻変動に関すること)
測地部                  宇宙測地課長              小門 研亮 (029-864-4813)

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