陸域観測技術衛星「だいち」でスマトラ島沖地震の発生メカニズムを解明

空白域を埋めた2008年2月20日のシムルエ島地震

発表日時:2008年02月25日(月) 16時00分

2月20日にスマトラ島西方沖のシムルエ島付近で発生したマグニチュード7.5の地震が2004年と2005年のスマトラ島巨大地震の間にある空白域を埋めるように起こったことを合成開口レーダーの干渉解析で明らかにしました。

  「だいち」(宇宙航空研究開発機構:JAXA)の合成開口レーダーの干渉解析を行い、2月20日にスマトラ島西方沖のシムルエ島付近で発生したマグニチュード7.5の地震にともなう地殻変動を明らかにしました。また、その地震の震源断層モデルを推定しました。
 その結果、西南西上空(仰角約42度)の人工衛星に向かう向きに少なくとも約59cmの地殻変動が観測されました。
 断層の形状を長方形と考えて、震源断層モデルを推定したところ、断層の向きはほぼ北西-南東、大きさは長さ約45km、幅約50kmであり、南西から北東に傾き下がる逆断層(傾斜角約4度)と推定されました。この上端部の深さは約20km、すべり量は約2.6mです。
 これは南西側の地塊が北東側の下に沈みこむような断層運動であり、オーストラリアプレートがスンダプレートの下に沈み込むプレート境界型の地震と考えられます。また、この断層運動から導かれるモーメントマグニチュードは約7.5と計算されました。
 推定された断層パラメータは、米国地質調査所(USGS)などによる地震観測の結果とも整合しています。
 2004年から始まったスマトラ島沖の一連の地震について、シムルエ島とパダン沖の2箇所に空白域があるとされていました。今回の地震は、このうちのシムルエ島の空白域を埋めるように発生したと考えられます。
 なお、パダン沖の空白域付近では、1797年にマグニチュード8クラスの地震が発生したことがあります。

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