人工衛星によるパキスタン北部地震の地殻変動の検出

― 既知の活断層に沿って1m以上の変動が90kmも続く ―

発表日時:2005年11月11日(金) 14時00分

 国土地理院(院長 矢口 彰(やぐちあきら))は、人工衛星によるデータを用いて、10月8日にパキスタン北部で発生した地震の地殻変動を詳細に捉えました。

 欧州宇宙機関のENVISAT(エンビサット)の合成開口レーダー(SAR)データを用いて面的な地殻変動を求めたところ、観測された地殻変動が1m以上になる地域は震源の北西から南東にかけて帯状に約90kmつながっていることがわかりました(資料-1)。最大の地殻変動は、甚大な被害が発生したムザファラバード北部にあり、隆起量に換算すると6mほど隆起していることがわかりました(資料-2)。

 震源地付近には、北東側隆起、右横ずれ(南西側から見て北東側が南東方向に水平移動)の活動を示す北西-南東方向に延びる活断層があることが知られています。検出された地殻変動はこの活断層に沿っており、変動の向きも整合することから、この活断層が活動したことがわかりました(資料-2)。また、モデル計算から、断層が最大約9mすべったことがわかりました(資料-3)。

 一方、別の高分解能衛星画像から地震に伴う斜面崩壊を抽出したところ、 活断層に沿って、その北東側に斜面崩壊が集中していることがわかりました(資料-4)。

 

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              主任研究官  飛田幹男 029-864-5968(直通)

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