豊後水道周辺の地殻変動について

発表日時:2003年10月29日(水) 16時00分

 国土地理院(院長  星埜由尚[ほしの よしひさ])は、全国に1,200点の電子基準点を設置しGPS(汎地球測位システム)衛星からの電波を受信して地殻変動の連続観測を実施しています。
 最近の観測データから,豊後水道周辺において顕著な地殻変動を検出しました。この変動は8月上旬にはじまり現在も継続しています(別紙1別紙2)。その範囲は豊後水道周辺の四国西南部から九州の東海岸付近にかけての地域で,愛媛県三崎町や同県御荘町の観測点において南東方向に約2カ月間かけて最大1cm程度移動しています。
 この地殻変動について,プレート境界で地震動を伴わないゆっくりとした断層すべりが起きたと考え,長方形の断層面を想定し計算したところ、長さ約30km、幅約40kmで、南東から北西に傾き下がる低角の逆断層(傾斜角10度)が,北西側が南東側にのり上げる方向に約20cmすべったことがわかりました(別紙3)。断層の大きさとすべりの量から推定したモーメントマグニチュード(Mw)*は約6.5でした。
 気象庁によると,ほぼ同時期にこの地域で低周波地震が観測されています。
 なお同じ地域では,1996年から翌年にかけて同様の地殻変動が起きており,1年間で約3cmの変動が観測されています。

* モーメントマグニチュード:地震で解放された歪みの大きさから推定した地震の規模を現します。通常使われるマグニチュードは地震動から推定しています。

添付資料:

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