東海地方の地殻変動

地殻変動がやや減速

発表日時:2001年07月25日(水) 14時00分

 国土地理院(院長 矢野善章)は、全国に約1,000点の電子基準点を設置しGPS(汎地球測位システム)衛星からの電波を受信して地殻変動の連続観測を実施しています。

 東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みによって、日本海側から見て概ね北西方向に移動しており、その速度はこれまでほぼ一定でしたが、2001年4月頃より、その速度がやや減速している領域があることがGPS観測から明らかになりました。

 GPS観測による1998年1月から2001年6月までの平均的な地殻変動速度からのずれの分布(新潟県の大潟町を固定:添付資料図-1を参照)をみると、関東地方や東北地方南部には通常の運動からのずれは現れていませんが、御前崎から名古屋付近にかけてその内陸部も含めて、2001年3月から6月までに最大約1cm弱の地殻変動の減速が見られます。GPSの水平方向の観測精度は数mm程度です。

 この地域では、GPS観測によって2000年7~9月にも三宅島・神津島周辺の地殻活動の影響による微小な変動が観測されましたが、今回の減速現象は2001年の3月頃から始まり現在も進行しているように見えます(添付資料図-2および図-3参照)。

 なお、国土地理院は東海地方の上下変動を観測するため、森町-掛川市-御前崎間において、精密水準測量を年4回実施していますが、2001年7月に実施した最新の測量結果は、これまでの通常の変化パターンと概ね一致しており、全体的には半島の先端に向けて沈降していますが、今回は、御前崎先端約5kmの部分が約5mm程度沈み足りないことを示す結果となりました(添付資料図-4参照)。同様の現象は過去にも発生しています(1981年、1987年、1988年)が、このときには、その後通常のパターンに復帰しました。

 GPS観測の結果は、以下の国土地理院のホームページで常時公開しています。

 http://www.gsi.go.jp/CRUST/index.html

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国土地理院
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