第24回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

第24回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

“子どもたちの目線から見た世界”の魅力 ―地図を通した心のコミュニケーション―

 全国各地で子どもたちによる地図づくりの活動が行われています。学校ではまち探検や身近な地域の調査などの成果を地図にまとめる学習活動があり、夏休みの課題の一つに地図づくりを掲げる学校もあります。地図を使った取り組みは社会教育の現場においても行われています。まちづくりや地域おこし、防災・防犯活動などにおいても、地域の人たちや地方公共団体などによる地図を利用したワークショップなどさまざまな取り組みが行われて、地図作品の展示会や発表会も開催されています。

 特に子どもたちがつくる地図の世界は新鮮です。大人からは見えない子どもならではの気づきと視点から表現された地図は、時に社会の抱える課題の核心を突き、大人では思いも付かないような斬新なアイディアに満ち溢れています。地図という空間的で視覚的な表現手段は、世代や人種を越えたコミュニケーションを可能にする優れた魅力的なコミュニケーション・ツールと言えるでしょう。

 全国児童生徒地図作品展連絡協議会は、子どもたちによる地図に関する作品展を全国各地で運営する団体の集まりです。加盟する団体によって毎年特色ある作品展(個別展)が開催されるとともに、それぞれの優秀作品を一堂に集めた「全国児童生徒地図優秀作品展」(全国展)を開催してきました。全国展については、国土地理院「地図と測量の科学館」、「国土交通省本省」および「科学技術館」での展示といった例年の関東地方での会場展示に加え、昨年からは関西の「NHK大阪放送会館アトリウム」でも作品展を開催してきました。

 本年度においては吹き荒れるコロナ禍の中での開催となり、残念ながら開催を見送った個別展も少数ありましたが、全国展については子供たちの努力と期待に応えるべく出来る限りの知恵を絞り、各会場とも感染対策を十分に行ったうえで開催いたしました。

 作品そのものは今年度も優れた地図が集まりました。社会問題を深く掘り下げた作品や、日常の風景の中にある不思議や好きな物の分布を調査した作品、地元の歴史や文化、名所を足でたどった作品や、膨大な労力を投入した模型や立体物の作品、過去と現在ばかりか未来のまちづくり、見えないデータや地下までを重ね合わせて比較した作品や、クイズや謎解き形式で考えさせる作品など、子どもたちの視点とアイディアには感心させられるばかりです。感染対策をテーマにした作品も見受けられ、たくましく新しい課題に地図を使って立ち向かう姿勢には感動を覚えます。

 今年度も本ホームページにて、全国展で展示した全作品を公開します。画像を拡大することができますので、地図表現の工夫、動機や考察の説明文などの詳細もぜひご覧ください。地図を通して、作品制作に取り組んだ子どもたちとの心の対話を楽しんでいただけましたら幸いです。

 一日も早く、皆様と直接お目にかかれる日を心待ちにしつつ。


 令和3年3月

  全国児童生徒地図作品展連絡協議会
    会長   大窪健之