第23回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

第23回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

“子どもたちがつくる地図”の発信力 ―地図で考え、地図で伝える―

 全国各地で子どもたちによる地図づくりの活動が行われています。学校ではまち探検や身近な地域の調査などの成果を地図にまとめる学習活動があり、夏休みの課題の一つに地図づくりを掲げる学校もあります。地図を使った取り組みは社会教育においても行われています。まちづくりや地域おこし、防災・防犯活動などにおいても、地域の人たちや地方公共団体などによる地図を活用したさまざまな取り組みが行われて、地図作品の展示会や発表会も開催されています。

 全国児童生徒地図作品展連絡協議会は、子どもたちによる地図に関する作品展を各地で運営する団体の集まりです。加盟する団体によって毎年各地区で特色ある作品展(地区展)が開催されるとともに、それぞれの優秀作品を一堂に集めた「全国児童生徒地図優秀作品展」(全国展)を開催しています。全作品を展示した国土地理院「地図と測量の科学館」での展示等、例年の会場での展示に加え、今回は初めてNHK大阪放送会館アトリウムでも作品展を開催しました。いずれの会場も、じっくり見入る人もあれば、楽しそうに見て回る親子連れ、あれこれ語りあう大人たちなど大勢の来場者でにぎわいました。

 今年度もさまざま地図作品が集まりました。共通しているのは、いずれも子どもたちの疑問や好奇心が起点にあることです。そして知りたい、明らかにしたいという思いで調査が始まります。そこには驚きや発見もあれば、時に戸惑いや失敗もあり、試行錯誤の連続です。やがて明らかにしたことを表現したい、だれかに伝えたい、という気持ちが芽生え、創意工夫して仕上げた地図なのです。作品には子どもたちのそうした思いと体験のプロセスが詰まっています。子どもたちによる地図作品が強い発信力をもち、私たちに感動を与える理由はそこにあります。今回は、洪水や津波、土砂崩れ、避難経路など災害や防災に関する作品、河川や湧き水、雨水の行方、水力発電など水を中心とした環境に関する作品などが全体の2割を占めました。今年は豪雨やそれにともなう災害などが各地で発生したこともあり、これらの作品はとくに来場者の注目を集めました。

 今年度も本ホームページにて、全国展で展示した全作品93点を公開します。画像を拡大してみることができますので、地図表現の工夫、動機や考察の説明文などの詳細もぜひご覧ください。そしてまた全国展や地区展の会場に足をお運びいただいて、直に作品との、そして作成した子どもたちとの対話を楽しんでもらえたら幸甚に存じます。

 令和2年2月

  全国児童生徒地図作品展連絡協議会
    会長    村山朝子