第22回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

第22回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

子どもたちがつくる地図の力

 全国各地で子どもたちによる地図づくりの活動が行われています。学校ではまち探検や身近な地域の調査などの成果を地図にまとめる学習活動があり、夏休みの課題の一つに地図づくりを掲げる学校もあります。地図を使った取り組みは社会教育においても行われています。まちづくりや地域おこし、防災・防犯活動などにおいても、地域の人たちや地方公共団体などによる地図を活用したさまざまな取り組みが行われていますし、地図作品の展示会や発表会も開催されています。

 全国児童生徒地図作品展連絡協議会は、子どもたちがつくった地図作品の展示会を各地で運営する団体の集まりです。地図作品や各団体の活動をより多くの人たちに知ってもらい、地図を活用した教育の取り組みを広め充実させたいという願いのもと、国土地理院と連携して、毎年、全国児童生徒地図優秀作品展を開催しています。
 
 地図づくりは、空間的思考や、安全で心豊かに生活する知恵の涵養につながります。地域を知り、地域への愛着やよりよい地域づくりへの意識の高まりも期待できます。

 今年度の全国児童生徒地図優秀作品展にも、時間をかけて地域を歩いて丁寧に調査していったもの、地域を俯瞰し事象の分布や関連を考察したもの、文献調査とインタビュー、フィールドワークを組み合わせたものなど、じつにさまざま地図作品が寄せられました。共通しているのは、どの作品も子どもたちの疑問や好奇心が起点にあることです。そして知りたい、明らかにしたいという思いで調査が始まります。そこには驚きや発見もあれば、時に戸惑いや失敗もあり、試行錯誤の連続です。やがて明らかにしたことを表現したい、だれかに伝えたい、という気持ちが芽生え、創意工夫して仕上げた地図なのです。作品には子どもたちのそうした思いと体験のプロセスが詰まっています。子どもたちによる地図作品が強い発信力をもつ理由はそこにあります。
 
 全国児童生徒地図優秀作品展の会場には、今年も大勢の人たちが訪れました。腕組みして作品をじっと見入る人、楽しそうに指さしながらみて廻る親子連れ、作品を前にあれこれ語り合う大人たち。そこに作成者である子どもがいなくても、作成者とみる人、作品と作品をみる人、そして作品をみる人同士の対話が成立しているのを目の当たりにして、あらためて手づくりの地図作品がもつ力を再認識しました。
 
 今年度も本ホームページから、全国児童生徒地図優秀作品展に出展された作品を公開します。地図と作成者の主旨文をご覧になれば、きっと直接作品をみてみたいと思われることでしょう。ぜひ次回のこの地図優秀作品展、そして各地で開催される地図作品展の会場で、子どもたちの地図の力に直に触れていただければ幸甚に存じます。
 
 平成31年2月
 
  全国児童生徒地図作品展連絡協議会
    会長    村山朝子