第20回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

第20回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)

自ら問い続けること

 平成28年度の「第20回全国児童生徒地図優秀作品展」では、全国の団体から推薦された優秀作品が、1月7日から、地図と測量の科学館(特別展示室・地図のギャラリー)・国土交通省(1F展示コーナー)・NHK(ふれあいホールギャラリー)において、順次展示されました。全国の応募総数は5226点。その中から、大臣賞2点が選ばれました。

 作品は、開催地区ごとに規準はさまざまでしたが、地図への興味を高め親しむことができるもの、知らない土地に思いをはせるもの、自分の住んでいる場所への深い愛着が感じられるもの、地形の変化に目を向け災害と関連づけたもの、自分でその土地を歩き綿密に取材したものなど、どの作品も力作ばかりでした。

 

 児童・生徒を取り巻く社会は、情報化や技術革新が今後ますます進んでいくと考えられます。しかし、あまりにも急激な変化や現代社会の様々な問題は、未来への予測をよりむずかしくしています。未来は誰にも分かるものではありません。だからこそ、その時々で人は考え、判断しなければなりません。今まで以上に先の見えない未来を力強く切り拓くには、自ら考え、判断し、行動する力が求められています。

 児童・生徒自身が主体的に疑問を持ち、多面的に考えたり、公正に判断したりすることによって、よりよい社会の形成に参画する力の基礎を養うことができます。学びによって、様々な問題に自ら立ち向かおうとする態度を育て、未来に起こりうる困難な状況も切り拓くだけの力を培っていけるのです。

 地図作品を作成する時、最も核になるのは児童・生徒自身の興味関心であり、そこから生まれる本人なりの課題、そして問題意識であると思います。自分の身近にある事象に気づき「なぜ」「どうして」というそれぞれの疑問を持つことこそが、調査、研究、そして地図作品づくりの原動力です。

 児童・生徒が自らの課題を持ち、進んで地図づくりに取り組むことによって、自ら問い続ける力を高め、主体的に学習していく力につながっていきます。また、地図を通して地域と向き合うことは、おのずと地域に対する関心を高め、地域を愛する心を育てます。故郷を愛する児童・生徒の取り組みや関心の高まり、そして「自ら問い続ける」力は、社会の未来につながっていくものだと思います。

 

 全国児童生徒地図作品展連絡協議会での交流を通して、児童・生徒の地図への関心が高まり、地図を通して主体的に学習する姿勢が育つことにつながればと思います。

 

  平成29年2月
    全国児童生徒地図作品展連絡協議会
      会長 中山 裕之