第16回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)
第16回全国児童生徒地図優秀作品展 ご挨拶(連絡協議会長)
鳥の目,アリの目と地図作り
今年1月,本協議会総会に仙台より上京した私は,大宮駅周辺でくっきりと富士山を見ました。(関東周辺に暮らす人にとっては特別なものではないでしょうが)帰宅後地図帳で,大宮からの「距離は?」,「方位は?」,「近くに富士見市がある(富士山と関係があるのかな)」等々と地図帳でいろいろ調べてみました。
携帯電話が「ケータイ」と呼ばれるようになって10数年,今はスマホの時代となり先ほどの質問は一気に解決でき,加えて画像も春夏秋冬,リアルタイムも含めて簡単に手に入れることができる時代となりました。
ICTの活用普及や地図のデジタル化の歩みは今後益々増していくものと思います。
一度も行ったことがない土地でも,画像等を通してより身近なものに感じることができるのはすばらしいことで,まさに「百聞は一見にしかず」です。でも,たくさんの資料を手にしても自分なりの消化ができなければ本当の力にはなりません。
その消化の方法の一つが,地図にまとめる=地図作りだと考えます。小・中学校での新学習指導要領の完全実施に伴い,社会科では地図の読図や作図などの学習活動を通して,思考力・判断力・表現力の育成を図ることがいっそう重視されています。
自分でテーマを設定し,集めた資料や鳥の目,アリの目による現地調査の成果を正確に,わかりやすく工夫・表現し,テーマの現状,問題点や課題などを自分なりに分析整理した地図を作ること。加えて,見る人にとってわかりやすく,見る人の心を惹きつける地図を作成することで,その目標を達成できると思います。
今回,国土交通大臣賞・文部科学大臣賞を受賞した児童は,身近な地域からテーマを設定し,実際に自分の足で調査やインタビューを行い,丁寧に地図にまとめています。そこにはそこに暮らす人々の生活の様子もしっかり描かれている力作です。見る人の心を惹きつける地図作りを,これからも多くの児童生徒に続けてほしいと期待しています。
ご指導の先生方や保護者の皆様には,これからも児童生徒の独創性に富み,工夫を凝らした魅力のある地図作りをご指導願えればと思っております。
平成25年2月
全国児童生徒地図作品展連絡協議会
会長 川村英一