火山基本図数値データを利用した火山災害シミュレーション

川崎地質株式会社・国土地理院の研究成果

川崎地質株式会社・国土地理院

 火山基本図数値データを利用した火山災害シミュレーションモデルの開発

1.目的:

 火山災害を事例として、GIS(Geographical Information System)によりハザードマップを作成する際に必要な要件について検討した。

2.現状:

 現在の紙の地図によるハザードマップは、1.様々な情報が重なり複雑、2.修正する際は全面改訂が必要、3.想定外の状況が発生した場合の活用に難、等の問題点がある。

3.実施内容:

 三宅島の1983年の溶岩流のシミュレーションを行い、結果をGISシステムに表示する一連の流れを確認した。
 シミュレーションプログラムは、Miyamoto and Sasaki(1997)を基に、GIS(ArcView)で利用できる出力形式に改訂した。標高データは国土地理院のDEM(10mメッシュ)のデータを利用した。

 

図1 計算範囲(四角)と図2の視線の方向(矢印)
図1 計算範囲(四角)と図2の視線の方向(矢印)を表示した画面

 

図2 三宅島・雄山の溶岩流シミュレーション結果
図2 三宅島・雄山の溶岩流シミュレーション結果を表示した画面

 

 計算結果はGISソフトに取り込み、国土地理院の火山基本図や「三宅島等GIS用データ」とともに表示した。
 溶岩流の分布範囲と地図データとの位置関係を比較することで、非難計画などの防災対策を策定する資料とすることができる。

 

図3 防災関連情報の表示例
図3 防災関連情報を表示した画面(例)

4.得られた成果:

 シミュレーションによる出力結果をGISシステムに取り込むための方法を確認することができた。GISを利用したハザードマップでは、様々な主題図を追加・削除、表示・非表示を自由に行うことができ、防災対策の目的に応じた活用が可能である。また、マップの修正は、対象となるレイヤの必要な部分のみに対して行うことができる。想定条件を変えてシミュレーションを実施すれば、災害の進行状況に応じたマップの修正が可能である。
 今後の課題として、対象とする災害の種類やシミュレーションの精度等について検討すること、実際に防災対策に適用する際の方法等について検討することなどが重要である。

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