地震前にゆっくりすべりの周期が短くなる現象を観測 ―2024年8月の日向灘の地震前後のプレート間すべりの解析から―

発表日時:2025年06月27日14時00分

2024年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震(マグニチュード7.1)について、電子基準点によって観測された地殻変動から、プレート境界で地震の前後にどのようなすべりが起こったのかを詳細に明らかにしました。その結果、地震前に震源域深部延長のプレート境界面上でゆっくりすべりが発生していたこと、この領域で、ほぼ2年おきに発生していたゆっくりすべりが、地震直前は約1年で発生したことを確認しました。

 過去30年の電子基準点の観測データから、この地震の震源域よりやや深いプレート境界で、概ね2年おきに繰り返しゆっくりすべりが発生することが知られています。ところが、この地震の直前に2023年末から発生したゆっくりすべりは、それ以前のゆっくりすべりからまだ1年ほどしか経過していませんでした。このような、大きな地震の前にゆっくりすべりの発生間隔が短くなり地震に至る現象は、シミュレーションでは予想されていましたが、実際に観測された例はほとんどありません。本成果は、地震発生メカニズムの理解に貢献するとともに、ゆっくりすべりのモニタリングの重要性を示すものです。

 なお、本成果は以下の学術誌に掲載されました。

著者および論文名
S. Ozawa, H. Munekane, H. Suito, and H. Yarai (2025) Interplate slip before, during, and after the 2024 Mw7 Hyuga-nada earthquake, southwest Japan, Science, 388, doi:10.1126/science.adu7076.


 添付資料:2024年8月8日の日向灘を震源とする地震の前に発生したゆっくりすべり(PDF形式:357KB)

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