令和2年度 地理空間情報の活用等に関する関東地域連携協議会を開催

 

 関東地域において産学官が地理空間情報に係る課題の認識と情報の共有を図り、地理空間情報の効果的な整備・更新・活用を推進することを目的に、平成26年度から開催している「地理空間情報の活用等に関する関東地域連携協議会」※を今年度も開催しました。
 なお、今年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、対面とWebの併用で開催しました。

開催概要

日時:令和2年12月25日(金)13時30分~16時00分
場所:国土地理院関東地方測量部8F地震予知連絡会大会議室
出席者:協議会構成員(23機関及び学識経験者3名)
議事:
1.講演
2.意見交換

1.講演

  • 都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ
    ~制作公開の経緯とデータ公開でみえた諸課題~
    (講師 ジャッグジャパン株式会社 代表取締役社長 大濱﨑卓真)
  • 地理院地図とそのオープンデータ・オープンソースの取組
    (講師 国土地理院地理空間情報部情報普及課長 佐藤壮紀)

2.意見交換

講演内容に対する質疑応答とともに、事前に設定した意見交換項目(オープンデータ整備における「データのあり方」、「意識改革」、「負担軽減」、災害対応・防災でのウェブ地図による情報発信における「情報更新」、「運営体制」)を中心に活発な意見交換が行われました。主な意見等は以下のとおりです。
  • 情報には、同じ内容でも小規模な地域では個人が特定できる場合もあり、一律に基準を定めるのは困難である。先の見えない状況の中では、見直しながらより良い形を探っていくことが求められる。
  • 災害時等に有用な地理的情報基盤を作成する場合、初期段階から情報提供体制を考えて行うべきだが、対応スピードも重要なので、フェーズごとにやり方を検証し最適な方法を検討する必要がある。
  • 緊急時の対応において、データ基盤の整備を現場対応者に求めるのは酷であり、データの整備やオープンデータ化については、現場対応とは異なる部署で議論し取り組む必要がある。
  • オープンデータ整備においては、データを公開することがまず第一歩であり、公開したことによる効果がすぐになくても、公開されたデータから何かに使えるのではないかと考える者がいるということについて、自治体内で理解が進むことが重要である。
  • 自治体において、G空間情報センターや国土交通データプラットフォームなど既にあるプラットフォームを効率的、継続的に活用することによって、保有する情報の価値を創出し、担当者が異動となってもデータを更新・使用できる環境を整えられる。
  • ウェブ地図による情報発信では、オープンデータ化、オープンソース化により地図やツールの活用環境は整いつつある。平時からそれらを積極的に活用して災害対応に役立つ情報の整備・発信を行い、災害時にはGIS技術を持ったボランティアなどの協力を得たGISによるデータ整備の体制を作り、情報発信・情報共有を図る必要がある。

事務局より

 今年度は、オープンデータとウェブ地図による情報発信の観点から、「新型コロナウイルス感染者数マップ」を制作・公開しているジャッグジャパン(株)の大濱崎社長と、「地理院地図」の整備・公開を担当している佐藤情報普及課長にご講演いただきました。各構成機関からは、オープンデータの活用と具体的な事例について、活発な議論が行われ、オープンデータやGISの有効活用において整えるべき環境(関連部署との連携・体制等)、データ活用のためのノウハウ、オープンデータ化における課題(個人情報の取扱いと保護、データ整備・提供のあり方)について情報共有が図られました。緊急時には、日々変わる状況に応じた、即時性・正確性を伴った情報提供の必要性が改めて認識されました。

※関東地域連携協議会の構成員は以下のとおりです。
(産)埼玉県GIS普及推進研究会、NPO法人全国G空間情報技術研究会関東中部G空間情報技術研究会、(一社)全国測量設計業協会連合会関東地区協議会、(一社)全国測量設計業協会連合会東京地区協議会、ジャッグジャパン株式会社(臨時構成員)
(学)後藤真太郎教授(立正大学)、佐土原聡教授(横浜国立大学)、関本義秀教授(東京大学)
(官)総務省関東総合通信局、農林水産省関東農政局、国土交通省関東地方整備局、国土地理院関東地方測量部、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市
(事務局)国土地理院関東地方測量部