地理空間情報の活用促進に関する北陸地方産学官連絡会議石川県分科会を開催

地理空間情報の活用促進に関する北陸地方産学官連絡会議石川県分科会を開催

 地理空間情報の活用促進に関する北陸地方産学官連絡会議の石川県分科会が、平成26年1月16日(木)に石川県地場産業振興センター(金沢市)で構成員、発表者及び石川県職員など26名が参加して開催されました。
 

1.議事概要

(1)地理空間情報活用推進に関する情勢について

  1. 地理院地図キットの紹介と地理院マップメーカーの利用方法について

 国土地理院北陸地方測量部 田中専門職
国土地理院では、平成25年10月末から電子国土Web.NEXT(試験公開)を正式公開に併せて地理院地図に名称を変更しました。地理院地図を利用するためのツール群として、地理院地図キット(地理院マップシート、地理院マップメーカー、地理院マップケース)を国や地方公共団体に提供しています。地理院マップメーカーは、KMLファイルやシェープファイル、位置情報のないPDF等の各種データを取り込むことができ、地理院地図との重ね合わせ表示や印刷が可能です。また、地理院マップケースで利用するためのタイルを作成できます。
 

  1.  防災・危機管理におけるUTMグリッド地図と地理院マップシートの利活用について

 国土地理院北陸地方測量部 仲井防災情報管理官
場所を特定する方法には、住所、緯度経度などがありますが、東日本大震災での住所情報等の聞き違いによる混乱や防災機関で使用している地図が異なっていたために捜索場所の漏れ等があったことなどから、防災機関で共通の場所を特定する方法が必要との声があり、自衛隊で使っているUTMグリッドの検討が中部圏で行われました。中部圏でUTMグリッドが利用されることになり、国土地理院の地理院地図でUTMグリッドやUTMポイントを表示することが可能になりました。

「地理院地図」は下記サイトで公開しています。
地理院地図(新規ウィンドウ表示)
 

(2)地理空間情報を活用した研究・取組について

  1. gvSIG「USBに差し込んで使う」GIS、GeoServer ShapeやKMLをそのままネットで配信、ブラウザで共有するツール

 金沢星陵大学女子短期大学部 沢野教授
gvSIGは、スペイン・バレンシア自治州政府によるGIS(GNUライセンス)です。インストールを必要とせず、USBメモリー等に実行ファイルを置くだけで動作するPortable版があり、今回、Portable版の起動方法からシェープファイルの読み込み方法、投影法変換の方法等について説明がありました。また、gvSIGの問題点として日本語に対応していない点について説明がありました。 GeoServerはOpenLayersなどを使い、ブラウザで地理情報を受けとるためのデータ配信用サーバーです。電子国土、Google Maps、OSM等々、WMSで配信されている背景地図に重ねて表示できるサイトを極めて簡単に作ることができます。
 

  1. 地理情報分析支援システムMANDARAによる地理空間情報の活用

 富山大学 大西准教授
MANDARAは、埼玉大学教育学部の谷謙二先生が開発したツールで統計地図作成に特化したGISソフトです。ワードとエクセル程度が使えれば新たな操作を学ばなくても操作できるGISです。MANDARAは、電子国土を背景とした人口密度や標高段彩図などが作成でき、自分の住んでいる地域の危険度を知ることに役立てることができます。谷謙二先生開発の新旧地形図を閲覧できるWebサービス「今昔マップon the web」では新旧の地図を並べて表示でき、地域の変容をとらえたり、ローカルな災害について検討したりすることができます。このサイトでは、国土地理院から購入した旧版地図をデジタル化して載せています。

  • MANDARAのホームページ

 地理情報分析支援システムMANDARA(新規ウィンドウ表示)

  • 新旧地形図を閲覧できるWebサービス「今昔マップon the web」

 時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」(新規ウィンドウ表示)
 

(3)石川県での地理空間情報の利用事例

-土砂災害警戒情報システム(SABOアイ)について-
 石川県土木部砂防課 矢野技師
土砂災害警戒情報システム(SABOアイ)は、土砂災害において、市町が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難を支援する目的で平成19年8月から運用しており、平成24年6月から新システムの運用を開始しています。新システムの特徴として、使用しているGISは同じですが、使用している地図データは、行政版(行政専用回線)では、国土地理院の数値地図を利用し、一般版(インターネット)は、国土地理院の数値地図と一般の方に馴染みのあるgoogle mapsを使用しています。新システムでは、ハードウェアの統合や廃止を行い保守管理費の削減を図りました。また、見たい情報がトップページからたどり着きやすくなり、いち早く危険度が伝わる画面構成になりました。携帯電話向けホームページの開設や危険度情報などのメール配信サービスも開始しました。

※土砂災害警戒情報システム(SABOアイ)は下記サイトで公開されています。
石川県土砂災害情報システム SABOアイ(新規ウィンドウ表示)
 

2.意見交換

 意見交換では、石川県のGISで利用しているベースマップに関する質問、国土地理院の地図の鮮度に関する意見や国土地理院で提供しているコンテンツの内容に関する要望がありました。また、「連絡会議はいろいろな発表が聞ける場なのでオブザーバーで参加できる人数を増やしてほしい」、「連絡会議で紹介したツールが利用された事例を増やして自治体等からの発表を増やし紹介してほしい」等連絡会議の運営に関する要望がありました。
 

3.今後の予定

 今回の会議で本年度の連絡会議は終了しました。次年度も連絡会議を開催する予定です。

写真:石川県分科会の様子

石川県分科会の様子