「平成12年(2001年)鳥取県西部地震」に伴う地殻変動

電子基準点(GPS連続観測点)による解析

 平成12年10月6日13時30分頃に鳥取・島根県境付近の深さおよそ11kmで、M7.3の地震が発生しました。この地震により、最大震度6弱が観測されました。  震源域周辺の電子基準点で観測されたデータを国土地理院で解析した結果(6日21時までのデータ)、地震の断層運動を示す最大約17cmの地殻変動が観測されました。
水平変動ベクトル図

合成開口レーダーによる解析

 レーダーサット合成開口画像(平成12年9月17日と10月11日受信データ)を用いた干渉処理を行い、鳥取県西部地震の地震(平成12年10月8日発生、M5.5)にともなう断層の動きを発見しました。今回のデータは観測条件が整っており、詳細に解析を行った結果、画像全域で良好な干渉が得られました。
 これにより、鳥取県西部地震に伴う地殻変動について、山間部を含めた広い領域における地殻変動を見ることができるようになり、GPS観測から作成した断層モデル(平成12年10月7日記者発表)と調和的であることが確認されました。 特に、山間部で干渉が得られたことで、10月8日の地震にともなうと考えられる断層の動きが新たに検出されました。
 地殻変動量を表現する色の一周期がレーダー波長の半分(2.8cm)に対応します。
SAR干渉解析結果

水準測量結果

 この地震に伴う地殻の上下変動を把握するため、平成12年10月から12月にかけて、鳥取県米子市から岡山県高梁市まで(約102km)及び島根県玉湯町から鳥取県赤碕町まで(約68km)の2路線で水準測量を実施しました。地震発生前の平成元年及び平成11年の水準測量の結果と比較したところ、路線上で最も隆起したのは鳥取県日野町の水準点2232で隆起量は約11cm、最も沈降したのは日野町の水準点2235で沈降量は約14cmであり、断層の両側では最大約25cmのずれが生じました。
 地震直後に電子基準点で観測された水平変動に基づいて推定した断層モデル(平成12年10月7日記者発表)からは、断層の南東端付近において南西側にある日野町の水準点2234で隆起、反対側にある水準点2235では逆に沈降が発生することが予想されますが、今回の水準測量の結果により、こうした地殻変動が実際に起きていたことが初めて確認されました。
 また、米子市付近の水準点2253を中心としてやや隆起が見られますが、これも断層モデルと一致しています。
 このように、水準測量結果から地震のメカニズムを詳細に検討するための重要なデータが得られました。

水準点上下変動グラフ

水準点上下変動グラフ

水準点上下変動グラフ

鳥取県西部地震の断層モデルから予想される上下変動図

鳥取県西部地震の断層モデルから予想される上下変動図

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