平成10年9月3日 岩手県内陸北部の地震に伴う地殻変動

GPS連続観測点による解析

 9月3日16時58分に岩手山の南西を震源とするM6.1の地震が発生しました。この地震前後のGPS(汎地球測位システム)24時間データの解析から見ると、M寄木-M田沢湖(図-1)M西山-M田沢湖(図-2)M田沢湖-雫石(図-3)の基線がそれぞれ2cm、3cm、4cm程度の縮みを示していて、岩手山西方のM田沢湖の点が最も大きく変動しているように見えます。
GPS連続観測結果

GPS連続観測によるベクトル図

 西仙北を固定したベクトル図では、「M田沢湖」が東へ、「雫石」が西へ、「M西山」、「M寄木」が北へ動いています。 注:「M田沢湖」、「M西山」など、観測点名の頭にMの字が付いているものは、機動観測点です。  「雫石」、「田沢湖」、「岩手松尾」などの点は、電子基準点です。  (基準日:8月19日~9月2日 比較日:9月4日~17日 固定点:電子基準点「西仙北」)
GPS連続観測水平ベクトル図

APSによる観測結果

 APSの観測結果では、岩手山北西の下倉山の観測点から岩手山の西側の尾根に置かれた04、05、06、07の各反射点に向けて測定した辺長で、縮みの変化がみられる。変化量は04と07の2点で大きく、それぞれ約5cm、4cmの縮みであり、06方向では約2cm、05方向では1cm以下の縮みである。これらの結果から、04~07の各点が北に向かって変動したと考えられる。
注:APS(Automated Polar System):測角、測距自動観測装置
APS観測結果


 GPS、APSの観測結果は、東西圧縮の逆断層という震源のメカニズムから予想される変動方向と調和している。
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