地磁気を測る
国土地理院では、日本全国の磁場分布を求めるため、1949年(昭和24年)から全国で地磁気測量を開始しました。
過去には航空機に磁力計を搭載し、上空で磁場を観測する「航空磁気測量」も実施しました。 現在は、全国12か所でリアルタイムの連続観測を行っているほか、全国約100か所に一等磁気点を設置し、一部の点では定期的に繰り返し観測をしています。これらの観測データは、国土地理院地磁気測量のホームページで公開しているほか、地磁気世界資料解析センターにも提供され、地磁気の世界モデル作成にも使われています。 地磁気測量![]() 磁気儀を用いた偏角D、伏角Iの観測風景 地磁気測量の目的は、地磁気各成分の地理的分布とその時間変化を把握することです。
全国において同じ点で繰り返し観測できるように、一等磁気点(永久標識)を設置しています。 磁気点上では、磁気儀を用いて偏角D、伏角Iを観測します。また、全磁力計を用いて全磁力Fの観測も実施します。磁気点の近傍では、フラックスゲート型三軸磁力計(連続観測)を用いて偏角D,水平分力H,鉛直分力Zの変化量を測定します。さらに、偏角Dを求めるために、ジャイロステーションによる観測またはGNSS測量または極星観測によって真北の方向を決めています。 これらの同時刻の観測値を組み合わせて処理することで、日平均した地磁気の絶対値を算出しています。 測地観測所 国土地理院では、鹿野山測地観測所及び水沢測地観測所において、地磁気の連続観測を実施しています。また、定期的に地磁気世界資料解析センターへデータを提供しています。
地球電磁気連続観測装置 地磁気観測を連続かつ自動的に実施する目的で、1995年(平成7年)から地球電磁気連続観測装置の設置が始まりました。この装置により、無人で地磁気4成分(F,H,D,Z)を常時連続観測し、地磁気の変化をより確実に捉えることが可能となりました。現在は、全国10か所で連続観測を行っています。
各装置で得られたデータは、つくばにおいて電話回線を用いて取得され、データのクリーニング・計算処理などが行われて公開されています。 装置の構成![]() 地球電磁気連続観測装置の構成イメージ図 観測点配点図 一等磁気点、測地観測所及び地球電磁気連続観測装置の設置場所を示しています。
![]() MT連続観測 MT連続観測とは、自然の電磁場変動を利用して地下の比抵抗を地上から探る観測です。国土地理院では、地震活動または地殻変動に伴う地殻の比抵抗変化を検出するため、1996(平成8)年4月から2017(平成29)年5月まで江刺観測場において観測を行いました。
航空磁気測量 航空磁気測量とは、飛行機に磁気センサーを搭載し、面的にデータを取得することで磁場分布を明らかにする測量です。
観測された磁場から標準的な地球磁場を取り除くことで、 局地的な磁気異常を表した磁気異常図が作成されます。1962年(昭和37年)から1998年(平成10年)にかけて実施した精密な航空磁気測量の結果から、日本列島及び周辺地域の全国航空磁気異常図が作成されました。 また、火山地域は磁気異常が大きい場所であり、火山活動によって磁場が変化することが知られています。このため、1999年(平成11年)から2001年(平成13年)まで、岩手山、有珠山、樽前山、北海道駒ヶ岳及びその周辺地域における地下構造を解明する目的で、火山地域の航空磁気測量を実施しました。 ![]() ![]() 国土地理院の地磁気測量の役割 国土地理院では、主に次のようなことを行っています。
国土地理院が作成する磁気図や地磁気の観測データは、主に次のようなことに利用されています。
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