【資料-4】合成開口レーダー干渉解析の原理

合成開口レーダー(SAR)を搭載した人工衛星は、斜め下方に電波(マイクロ波)を照射し、地表面から反射して返ってきた電波を受信しています。同じ地点を何度か観測する場合、衛星の場所と電波の向きが同じであり、地表面の位置に変化がなければ、受信される電波の位相はいつでも同じです。もし、地表面の位置に変化があった場合、つまり、地殻変動が起こった場合はどうでしょう。変動後の観測では、衛星から地表面までの距離が変化し、それに応じて衛星に返ってくる電波の位相も変わるはずです。この変動前後に受信された位相を、地表のそれぞれの場所ごとに比較することで得られる位相差から、これに対応する衛星と地表間の距離の変化を地図として表現した図を「SAR干渉画像」と呼びます。これにより、衛星の方向から見た地表の変動量を面的に捉えることができます。この手法は、地表に観測機器などを設置する必要がなく、天候に左右されないなど、他の観測手法では得られない利点があります。
 日本の陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されている「PALSAR」は、樹木に覆われた場所でも樹冠を通して地表が観測できる電波を使っているため、森林の多い日本列島での地殻変動の検出に優れています。
SAR干渉解析により得られる地殻変動成分の概略図