平成18年3月~4月の地殻変動について
発表日時:2006年5月9日(火)16時00分
全国の地殻変動概況
別紙1~7は、国土地理院が全国に展開しているGPS連続観測網の観測結果から求めた3月中旬から4月中旬までの1ヶ月間の地殻変動を表したものです。
伊豆半島東部では、3月末の伊豆半島東方沖の地震活動に伴う地殻変動が見られます。その他の地域では特に目立った変動は見られません。
トピックス
- 3月末の伊豆半島東方沖を震源とする小規模な地震活動に伴い伊豆半島東部で観測された小さな地殻変動は、4月上旬にはほぼ停滞していましたが、4月17日頃から始まった地震活動に伴い、伊東八幡野観測点およびP伊東観測点が南西方向に約4cm程度移動するなど、周囲の電子基準点で地殻変動が観測されました。地殻変動は4月下旬には収まり、現在ではほぼ停滞しているように見えます。また、5月2日に発生したM5.1の地震の前後では、特段の地殻変動は認められませんでした。 (別紙8[PDF形式:171KB])
- 東海地域とその周辺で観測されていたプレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動は、最近は停滞しているように見えます。 (別紙11[PDF形式:371KB], 別紙12[PDF形式:158KB], 別紙13[PDF形式:489KB], 別紙14[PDF形式:375KB], 別紙15[PDF形式:648KB])
- 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む基線で長期的な伸びの傾向が見られます。また、島内の基線で12月頃から見られていた伸びの傾向は、最近は停滞しているように見えます。 (別紙16[PDF形式:546KB])
これらの地殻変動のモデルを推定したところ、主な変動源は、上端の深さが約5km、西北西-東南東方向の長さ約5km、南南西に急傾斜で傾き下がる幅約2kmの長方形の割れ目が約1.3m広がったと推定されました。また、4月21日に発生したM5.8の地震は、南北方向に長さ約4km、東側に急傾斜で傾き下る幅約6kmの左横ずれ断層が約0.7m滑ったものと推定されました。
(別紙9[PDF形式:125KB], 別紙10[PDF形式:58KB])
これらの変動源の位置は、発生している地震の震源域と概ね一致しています。
問い合わせ先
国土地理院 〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番 地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室長 今給黎 哲郎 (029-864-6925) 地理地殻活動研究センター 地理地殻活動総括研究官 村上 亮 (029-864-2477) 測地観測センター 地震調査官 畑中 雄樹 (029-864-4825)
補足説明
- 全国の1年間の地殻変動(2005年4月中旬から2006年4月中旬まで、別紙17)[PDF形式:556KB]
- 北海道地方では、平成15年(2003年)十勝沖地震後の余効変動の影響が見られます。
- 宮城県周辺では、昨年8月16日に発生した宮城県沖の地震とその後の活動に伴う地殻変動が見られます。
- 硫黄島の変動ベクトルは、島内の地殻変動を表しています。
- その他の地方では、プレート運動による定常的な変動が見られます。