金沢南方の段丘面編年と変動地形

The tephrocronological study of terraces and tectonic landforms in southern Kanazawa

地理調査部  木村佳織 M
Geographic Department Kaori KIMURA

要旨

 地理調査部は、平成12年度に金沢地区の土地条件調査を行った。この地域には森本-富樫断層帯が知られている。しかし断層帯の活動度については信頼性が低いものしか得られていない。その理由は、この地域の地形面の形成年代が不明確であるためである。この度、土地条件調査において段丘構成層の露頭から広域テフラを検出することができた。そこで広域テフラから明らかになった段丘面編年をふまえて、この地域における変動地形について見直した。
 この地域を流れる犀川・浅野川沿いの河成段丘を8面に分類した。その最高位面である野田山面では段丘礫層直下にSK(三瓶木次テフラ)を、礫層上にDKP(大山倉吉軽石)を確認した。したがって野田山面は南関東の武蔵野面に対比できる。従来の見解に比較すると、より新しい時代に形成されたことになる。その他の7面も従来の見解より新しい面である可能性が高い。したがってこれらの段丘面が森本-富樫断層帯による変動を受けている場合、従来考えられているより短期間に大きな変動を受けたと言い換えることもできる。
 そこで、これらの段丘面を用いて活動度を試算した。野田山面は比高80m以上の撓曲崖をなした変動地形である。この撓曲の平均鉛直変位速度を求めたところ1m以上/1,000年となった。また、低位段丘面の分布と沖積地のボーリングデータから求めた平均鉛直変位速度も1m/1,000年となった。

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