高分解能衛星データの災害時利用に関する調査・研究2

Research on utilization of high resolution satellite data for disasters 2

地理調査部  坂部真一・石浜佐栄子
Geographic Department Shinichi SAKABE, Saeko ISHIHAMA

要旨

 本調査・研究は、平成11年度から平成13年度に行われた国土交通省総合技術開発プロジェクト「災害等に対応した人工衛星利用技術に関する研究」の一環として行われたものである。
 ここでは、阪神・淡路大震災を事例に、高分解能衛星データを用いて、被害状況の把握を行うための調査・研究を行った。また、三宅島噴火を事例に、熱赤外域データを用いて熱分布等の把握を行うための調査・検証を行った。
 得られた成果は、以下の通りである。地震によって引き起こされる6つの被災種類(建物倒壊、延焼、液状化、沈下、高架橋落下、山腹崩壊)について、地図画像等の地理情報を併用した場合の衛星データからの被災情報抽出可能性の検証、5種類の自動抽出手法を用いた抽出可能性の検証を行い、衛星データのみの場合との比較検討を行った。その結果、それぞれの被災種類に応じて被災情報抽出に必要とされる衛星データの仕様が明確になった。
 次に、地震発生時に実際に衛星データを解析する職員のための「衛星データを用いた震災情報抽出マニュアル」を作成した。
 そして、より効果的に被災状況を把握するために必要となる人工衛星のセンサ、観測・供給体制に関する提言をまとめた。
 最後に、衛星データが将来、災害発生後24時間以内に入手できるようになった場合を想定して、その時間経過や活用手法について取りまとめた。
 なお、本報告は根本他(2000)の続編となっている。

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