2000年有珠山噴火にともなうマグマモデル

A Model of Magma Movements Associated with the 2000 Eruption of Usu Volcano

GPS連続観測を主とする地殻変動データによる推定
Inferred by Crustal Deformation Detected by Continuous GPS and Other Geodetic Measurements

地理地殻活動研究センター 村上 亮・小沢慎三郎・西村卓也・多田 堯
Geography and Crustal Dynamics Research Center
Makoto MURAKAMI, Shinzaburo OZAWA, Takuya NISHIMURA and Takashi TADA,

要旨

 有珠山周辺では、2000年3月27日頃から、地震数が増加に増加し始め、過去の活動形態から判断して短時間のうちに噴火する可能性が高いと予想された。一方、有珠山を囲む基線のGPS連続観測結果にも、地震活動活発化とほぼ同時に変化が現れ、地下のマグマが活動をはじめたことが推定された。GPSでは、最初は基線が伸びる変動が観測されたが、その後、縮みに変化し、継続していた3月31日の噴火を迎えた。今回の有珠山の活動は、GPSによる稠密な網による連続観測が開始された後に発生した初めての本格的な火山活動である。GPS以外にも、国土地理院は他の研究機関等と協力しながら、衛星や空中写真を用いるなど、様々な地殻変動観測を実施した。これらのデータに基づき、今回の有珠山噴火に伴ってマグマがどのように活動したかを紹介する。