高分解能衛星データの災害時利用に関する調査・研究

Research on utilization of high resolution satellite data for disasters

地理調査部  根本正美・宇根 寛・佐藤 浩・安藤恵美
Geographic Department
Masami NEMOTO, Hiroshi UNE, Hiroshi SATO, Emi ANDO

要旨

 本調査・研究は、建設省総合技術開発プロジェクト「災害等に対応した人工衛星利用技術に関する研究」(平成11~13年度)の個別課題として、災害発生後の被災概況を広域、迅速かつ的確に把握するために衛星データを利用すると想定した場合、どのような基本仕様に基づく衛星データが最適であるかをテーマにして、平成11~13年度の3ヵ年にわたって実施するものである。
 把握する事例として、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災における地震発生後の被災状況を取り上げた。既存人工衛星としてSPOT、打ち上げ予定の人工衛星としてALOSを選択し、プラットフォーム、センサ、受信時期等の仕様条件を種々に組み替えつつ、幾つかの震災情報の抽出手法を設定した。なお、空中写真から作成したシュミレーション画像をALOS画像として扱った。
 様々な手法により震災情報を抽出したところ、SPOT画像の利用では概して困難、ALOSシュミレーション画像では震災後の概況把握がほぼ可能で、災害時利用には高分解能衛星が是非とも必要であるとの検討結果を得た。さらに、画像をステレオ化して立体視判読することが、単画像判読と比べて優位であるとの検討結果などを得た。
 災害時に衛星データを利用する場合、衛星画像以外の地理情報を併用するか否かは仕様を大きく左右する条件となるが、本調査・研究では、まず地理情報を併用せず衛星画像のみを利用する場合を検討し、次いで衛星画像と地理情報を併用する場合を検討することとした。
 今回は、地理情報を併用せず衛星データのみの利用による場合(平成11年度実施)の調査・研究結果を報告する。