IKONOS画像の判読特性の整理と位置精度の検証(中間報告)

Interpretation Characteristics of IKONOS Imagery and its Coordinate Accuracy Validation

測図部  小荒井衛・門脇利広・渡辺信之・松尾馨
Topographic Department Mamoru KOARAI, Toshihiro KADOWAKI,
Nobuyuki WATANABE, Kaoru MATSUO

はじめに

 1980年代後半に東西冷戦構造が崩壊したことに伴う米国の国防予算の削減が、軍事技術の民需転用による新規事業展開の模索を促すこととなった。1994年、米国政府の規制緩和により、偵察衛星技術を民生用に転用した商業ベースの地球観測衛星事業を許可する大統領令が発表された。偵察衛星技術を転用した地球観測衛星が認められたことに伴い、1994年、偵察衛星関連技術分野で高い技術と長年の経験を持つ米国最大手ハイテク企業ロッキードマーティン社及びレイシオン/Eシステム社が合弁で、商用高分解能衛星の打ち上げと、全世界への画像データ提供を行う事業会社Space Imaging(スペース・イメージング)社(以下「SI社」と言う。)を設立し、1999年9月25日に世界で初めて、商業ベースで1mクラスの地上分解能を有する衛星として、IKONOSが打ち上げられた。
 その後SI社における衛星本体及びセンサの検証作業が終了し、簡単な幾何補正のみをした「デジタルジオ画像」と、地図と同様に正射投影された「デジタルオルソ画像」の提供が行われている。本稿では、「デジタルジオ画像」と「デジタルオルソ画像」は、一般名ではなくSI社の提供する商品名として使用することとする。
 衛星画像を含むデジタル画像データは、国土空間データ基盤の一つとして位置付けられており、画像データのGIS分野への適用の期待が高まっている。特に高分解能衛星画像については、今後IKONOSの他にも、Quick BirdやOrb Viewなど1m分解能の衛星の打ち上げ計画がある。国土地理院でも、デジタル画像を用いたGISデータの作成及びそのために必要なデジタル画像の品質評価は、国土空間データ基盤整備を行う上での重要な課題と考え、検討を実施してきている。
 国土地理院では、建設省公募型共同研究「デジタル画像処理技術の高度化に関する研究」(平成10~12年度)の一環で、IKONOS画像の精度検証について、IKONOS画像の日本総代理店である日本スペースイメージング株式会社(以下「JSI社」と言う。)と共同研究を実施している。
 国土地理院は、共同研究の一環としてJSI社から提供を受けたデジタルジオ画像及びデジタルオルソ画像について、判読特性の整理を行うと共に位置精度の検証を実施してきているので、本稿ではその中間的な概要を報告する。