岩手山における機動観測

Mobile Observation of Iwate volcano

測地部   平井英明
Geodetic Department Hideaki HIRAI

要旨

 機動観測は,群発地震や火山活動の活発化した地域等において,その地域の地殻変動を把握するために緊急的に行われる測量である。このため観測には機動性が求められる。測地部機動観測課では,1997年から,火山の観測に対応するために,その山頂部でも機動的に設置でき,商用電源及び有線電話回線を必要としないGPS連続観測装置の開発を進めてきた。1998年,岩手山の火山活動の活発化に伴い,科学技術庁の平成10年度科学技術振興調整費による緊急研究により,開発していたGPS連続観測装置等を岩手山周辺に設置することになった。
 本稿は,岩手山に設置した機動観測装置(GPS連続観測装置及びAPS連続観測装置)とこの装置の維持のために講じてきた様々な対策,及びこの装置の観測結果を,1999年6月の第28回国土地理院技術研究発表会における発表要旨をもとに加筆し,まとめたものである。