GPSによる精密比高観測

Precise Vertical Measurement by GPS

測地部  根本盛行・田中博幸・小枝 登
Geodetic Department
Moriyuki NEMOTO, Hiroyuki TANAKA, Noboru KOEDA

地理地殻活動研究センター  鷺谷 威
Geography and Crustal Dynamics Research Center  Takeshi SAGIYA

要旨

 短距離の点間をGPS測量機で連続観測し,比高(標高の差)の時間変化を高精度で求めることを目的として1997年~1998年にかけて試験観測を行った。
 精度の評価は主に再現性により行い,アンテナ高を変化させて精度の確認も併せて行った。テストフィールドとして,国土地理院構内,伊東市川奈,建設省土木研究所構内を選定し,安定したアンテナの設置方法を工夫し,可能な限り観測方法に起因する誤差を小さくする努力をして観測を実施した。また,1997年度緊急測量訓練におけるGPS機動観測結果についても考察した。
 これらの試験観測によってGPSによる比高観測から,一等水準測量の往復差の制限及び,往復差から求めた1kmあたりの標準偏差に近い精度が得られた。また,少なくとも点間距離2kmの観測では,点間を複数区間に分割して観測し,解析結果を累積する方法でも,直接解析した比高の再現性と比べて,高い精度を実現できるデータが得られた。