時報 vol.84 この間(1月~6月)のできごと

1月13日 宇宙開発事業団との第1回連絡会開催

 「建設省国土地理院と宇宙開発事業団との研究協力に関する覚書」に基づき,研究協力の推進に必要な協議及び調整を行うことを目的として設置された,国土地理院と宇宙開発事業団との研究協力に関する第1回連絡会が,国土地理院で開催された。

1月17日 三陸はるか沖地震の調査結果を公表

 平成6年12月28日に発生した三陸はるか沖地震で大きな被害を受けた八戸市及びその周辺部において,平成7年1月6日~10日まで地形と地震災害状況に関する緊急地理調査を実施し,その結果を公表した。

1月17日 兵庫県南部地震の緊急測量・調査を実施

 1月17日発生した兵庫県南部地震に対して災害対策本部を設置し,同日から緊急測量・調査を実施した。その内容は,(1)航空写真の撮影,(2) 淡路島及び神戸市周辺の現地地理調査,(3)臨時地震予知連絡会の開催, (4)兵庫県南部地震調査用図の作成,(5)GPS連続観測による地殻変動の解析などである。なお,地震調査用図は,18日に国土庁,建設省,地方自治体など関係機関に提供した。

1月17日 兵庫県南部地震の災害状況緊急撮影

 兵庫県南部地震の被害状況把握のため,防衛庁の協力のもとに測量用航空機「くにかぜ II 」による緊急撮影を実施した。この航空写真は翌日,国土庁,防衛庁,地方自治体,建設本省,地方建設局等に提供するとともに,一般にも利用できるように刊行した。また,関東地方測量部,近畿地方測量部,四国地方測量部において一般公開した。

1月17日 第一次兵庫県南部地震関連地理調査を開始

 兵庫県南部地震の被害と土地条件との関係,地震断層把握のため,地理調査を実施した。なお,第2次調査を1月27日から,第3次調査を2月13日から実施した。

1月18日 第111回臨時地震予知連絡会の開催

 兵庫県南部地震について検討するため,臨時の地震予知連絡会が関東地方測量部で開催された。連絡会では,関係機関から地震のメカニズム,前震・余震活動,地殻変動等に関する報告と国土地理院からGPS連続観測データの緊急解析結果などの地殻変動に関する報告があり,検討が行われた。今後もM6クラスの余震が発生する可能性もあり,当分,注意が必要であるとされた。

1月24日 小木験潮場で潮位変化の観測を開始

 新潟県小木町の小木港に験潮場を新築し,潮位変化の観測を開始した。佐渡島における潮位観測は,昭和48年8月から新潟県の施設に験潮儀を設置し,観測を行っていたが,新潟県が小木港にマリンパークプロジェクトを計画していることに伴い,今年度新たに小木港中央区にコンピュータ室を増設した新設計による験潮場を新築した。

1月25日 インターネツトで地震情報を提供

 兵庫県南部地震に関する調査の成果をインターネットを通じて広く迅速に伝えるため,緊急のWWWサーバーを設置し,1月25日から地震情報の提供を開始した。内容は,地殻変動観測など地震発生以降の調査の概要と調査で得られた成果の概要,航空写真の閲覧,入手方法などを簡単にまとめて,世界中を意識しつつ,日本語版と同時に英語版を作成して提供した。

1月26日 兵庫県南部地震災害現況図を作成

 兵庫県南部地震の被災状況を表示した兵庫県南部地震災害現況図を作成し,関係機関に配布した。災害現況図は,地震災害の調査,解析,応急対策等の基礎資料とするため,1月20日に撮影された航空写真を使用して災害種別状況について判読を行い,その結果を神戸側を1万分の1(21面),淡路島側を2万5千分の1(2面)の図にまとめたものである。

1月27日 兵庫県南部地方でGPS・水準測量を実施

 地震で被害を受けた兵庫県南部地方において各種測量・調査を地震直後から緊急に実施したが,詳細な地殻変動を把握するため,さらにGPS測量(20点)と水準測量(93km)を実施した。
 また,GPS連続観測点3ケ所が神戸市周辺に追加設置され,地殻変動の監視が強化された。得られた測量成果は,震災復旧測量の基準としても利用された。

1月27日 第112回地震予知連絡会の開催

 兵庫県南部地震の今後の余震活動などを検討するため,臨時の第112回地震予知連絡会が関東地方測量部で開催された。連絡会では,関係各機関から余震活動の状況,地震断層や被害状況などに関する報告があり,これらの情報に基づいて余震に関する検討がなされた。余震活動はしばらく継続すると考えられ,なお注意が必要であるとされた。

1月30日「地理情報システム研究集会」開催される

 平成6年度地理情報システム研究集会(財団法人日本地図センター主催,国土地理院後援)が日本都市センターで開催された。研究集会は,セミナー形式の研究集会(有料)とパソコンによる地理情報システム展(無料)の二部構成で実施され,研究集会には170名参加し,地理情報システム展には約700名の入場者があった。

昭和基地で絶対重力の連続観測に成功

 第36次南極地域観測隊に参加している山本隊員が,昭和基地において絶対重力の連続観測に成功した。昭和基地は,国際絶対重力基準点網の数少ない南半球の高緯度地域の観測点の一つである。
 長期にわたる極地域での絶対重力の連続観測は世界初であり,絶対重力の高精度な連続観測性能が確認された。

2月11日 震災復興に役立てる大縮尺航空写真撮影

 地震から26日目の2月11日,神戸,淡路島など被災地の航空写真撮影を7千分1の縮尺(六甲山周辺については2万分1)で実施した。撮影した航空写真は,国土地理院(つくば市),関東地方測量部,近畿地方測量部で閲覧できるようにした。また,(財)日本地図センターを通して刊行された。

2月15日 衛星画像より地殻変動をキャッチ

 国土地理院と宇宙開発事業団は,地球観測衛星「ふよう1号」に搭載した合成開口レーダーによる画像を解析し,神戸市付近及び淡路島北部の地殻変動に伴う地表面変位を定量的に捉えることに成功した。
 この解析画像から,神戸市の平野部全域に地殻変動を示すパターンが鮮明に見てとれ,この地域における地殻変動の存在が明らかになった。

2月20日 震災復興に必要な新成果を公表

 兵庫県南部地震に伴い,三角点,水準点の位置が変動したと思われる地域を対象として,緊急に復旧測量を実施し,その新成果の水準点について2月20日に公表した。

2月20日 第113回地震予知連絡会の開催

 第113回地震予知連絡会が関東地方測量部で開催され,全国の観測研究結果について報告があり,検討がなされた。兵庫県南部地震に関しては,今後も十分注意を払っていく必要があるとされた。また,周辺地域での広域の地震活動がやや高まっていることが指摘され,これらの地域の地震活動についても注意深く見守る必要があるとされた。

2月20日 7年度の航空測量計画が決定

 防衛庁と国土地理院による航空測量連絡協議会が2月20日,関東地方測量部で開催され,7年度の航空測量計画が決定された。国土地理院が測量用航空機「くにかぜ II 」によって行う航空測量は,「建設省国土地理院と防衛庁との航空測量に関する協力要網」に基づいて実施する。

2月21日 国際GPS地球力学事業理事会から感謝状

 国際GPS地球力学事業(IGS)の理事会から,IGSの発足に対する国土地理院の貢献に感謝して,2月21日感謝状が送付されてきた。

2月27日 ケニアC/Pの研修が終了

 昨年12月1日から,国土地理院で「測量・地図作成技術及び指導方法」の研修を受けていたケニア共和国の研修員2名が,2月27日に研修を修了した。

2月28日 平成6年度第2次補正予算成立

 平成6年度第二次補正予算案が2月28日に国会で成立した。国土地理院分は,総額31億6283万6千円で,復旧測量,地殻変動の監視をするためのGPS連続観測施設の設置,災害現況を詳細に表示した災害現況図作成を行う。

インターネットでの情報提供を拡大

 兵庫県南部地震に関する調査の成果をインターネットを通じて提供するWWWサーバーを作成し,1月25日から情報を提供している(既報)が,科学技術庁の省際研究情報ネットワークとの接続にあわせて国土地理院のホームページを作成するとともに,国土地理院の概要,GPSに関する情報など,提供する情報を大幅に拡大した。

3月1日 本格的な復旧測量に着手

 震災地域とその周辺地域の三角点120点,水準路線370kmの復旧測量に着手した。今回改測される三角点と水準点は,阪神・淡路大震災の復興事業に伴って実施される公共測量の基準として活用される。

3月6日 被災地域で電子基準点データのパソコン通信サービスを開始

 国及び各地方自治体等による復興事業のための公共測量が本格化することに対応するため,被災地域に電子基準点(GPS連続観測局)を8点設置し,そのデータをパソコン通信(ニフティ・サーブ)を利用して,3月6日より一般公開サービスを開始した。

3月8日 韓国にGPS連続観測システムを設置

 韓国水原市の國立地理院(NGI)構内にGPS受信機(AOA-Turborogue)と自動データ処理装置一式で構成されるGPS連続観測システムを設置し,3月8日から観測を開始した。
 観測データは毎月1回,NGIから郵送され,IGSの観測データ,国内GPS連続観測データと一緒に解析を行う。

3月10日 つくば三機関合同シンポジウムを開催

 兵庫県南部地震に伴う調査結果について,国土地理院と土木研究所及び建築研究所の三機関の合同シンポジウムが土木研究所において開催された。内容は,三機関の対応の他,地殻変動の調査結果や活断層に関する地理調査結果,道路・河川の被害状況,建築物の被害や都市防災・防火部門の調査結果等である。三機関で約85名の参加があった。

3月13日 地震予知の共同研究でロシアより来日

 ロシア国よりロシア科学アカデミー,地磁気・電波伝播研究所のゴロフコフ教授が国土地理院での共同研究のため来日した。今回の来日は,シベリア・日本海を含む日本周辺の地磁気変化モデルを作成するためである。

3月16日 日本海の地殻変動把握強化に験潮場開設

 山形県酒田市飛鳥に験潮場を開設し,3月16日から潮位の観測を開始した。国土地理院の験潮場は,これまでに北海道から沖縄まで全国に24ケ所設置されている。

3月23日 公共測量作業規程改定(案)まとまる

 建設省公共測量作業規程の改定について検討するため学識経験者,地方自治体関係者等専門家からなる「第3回検討委員会」を飯田橋会館で開催し,改定(案)をとりまとめた。10年ぶりとなる今回の主な改定内容はトータルステーション,GPS,ディジタルマッピング,既成図数値化等の測量新技術の導入と,応用測量における境界確認の具体化などである。

3月31日 基本情報調査分科会の中間報告まとまる

 基本図の作成事業を核として,新たな形態の地図成果の作成と提供を行うことを目指した,いわゆる「基本情報調査」を進めるための基本方針の検討結果(中間報告)がまとめられ,3月31日に開かれた国土地理院技術協議会で報告,承認された。

4月1日 国土地理院の組織を改編

 地図情報の管理・提供などの所掌業務の強化のために昭和47年以来の大規模な組織換えを行った。主な組織変更としては,地図管理部が地図部と改称してダイレクト製版等の新技術導入に取り組むための組織等を強化した。地理調査部は,地球地図に取り組むための組織,測図部は地図に表現される情報の効率的な整備・更新に取り組むための組織等を強化した。また,企画部は,情報提供のための組織を強化した。

4月5日 新潟県北部の地震に伴う緊急災害調査を実施

 4月1日12時49分頃に発生した新潟県北部の地震(M6.0)における緊急災害調査を4月5日~8日,3名の職員を現地に派遣して実施した。
 この地震により建物の全半壊が約700棟にのぼった。被害の特徴としては,福島潟南部の砂質微高地上の家屋の全半壊及び干潟地の堤防内導水管の破壊等の激しい被害が狭い地区に集中したが,周辺地区の被害は軽微であった。

4月6日 第114回地震予知連絡会の開催

 関東地方測量部において,第114回地震予知連絡会が開催され,第14期の委員による会長選挙などのほか,4月1日の新潟県北部の地震(M6.0)について検討が行われた。会長選挙では,茂木日本大学教授が引き続き選出され,副会長には宇津東京大学名誉教授,青木名古屋大学名誉教授が指名された。

4月11日 参議院建設委員会国土地理院を視察

 参議院建設委員会の合馬敬委員長(自民)三上隆雄理事(社会),矢原秀男理事(平成),上田耕一郎委員(共産)が尾田技術審議官の案内で国土地理院ほかつくば二機関等を視察した。この視察は,国における地震防災対策の実状調査が目的で,地殻変動監視室のGPS連続観測システムをはじめ,兵庫県南部地震関連の空中写真,地理調査,復旧測量等について説明を受けた。

4月13日 新潟県北部の地震に伴い水準測量を実施

 新潟県笹神村を中心に被害が出た,4月1日の新潟県北部の地震(M6.0)に伴う,地殻変動調査のため,4月13日から新潟県豊栄市~笹神村~三川村(52km)の区間の水準測量を実施した。地震が起きた地域の測量は,平成5年に行っており,今回の観測結果との比較で,同地域の地殻上下変動が明らかにされた。

4月19日 国土地理院を一般公開

 国土地理院は,4月19日に第36回科学技術週間(身近な疑問,科学の一歩)の行事として,施設の一般公開を行った。公開した施設は,図化室,印刷室,レーザー測距検定棟,屋外では,VLBI,GPS等で見学者は会社員,主婦,学生など, 163人であった。

4月21日 地図展推進協議会開かれる

 国土地理院,(財)日本地図センター,測量地図関係団体等で構成される地図展推進協議会が開かれた。協議会では7月7日~16日岐阜県図書館(岐阜市)において開催される予定の「地図展'95ぎふ」の開催概要,展示概要,サブタイトル「地図で見る,知る,世界と岐阜」等が決定された。

4月28日 阪神・淡路地区の新しい測量成果の公表

 兵庫県南部地震に伴う地殻変動により三角点,水準点が変動したため,緊急復旧測量を実施し,部分的には2月下旬に新しい測量成果を公表したが3月から本格的な三角点,水準点の復旧測量を実施し,新たに得られた三角点成果(110 点)及び水準点成果(78点)を4月28日に公表した。なお,旧成果との比較では三角点で約1.2mの水平変動が淡路島北部に,また,水準点では淡路島で最大約17 cmの隆起と最大約13cmの沈降がみられた。

4月30日 兵庫県南部地震災害現況図(第 II 版)1万分1を作成

 兵庫県南部地震による阪神地区の家屋倒壊・焼失,道路・鉄道・堤防破壊,斜面崩壊・液状化等の災害発生状況を表す災害現況図を作成し,関係自治体,研究機関,防災関係機関等に配布した。災害現況図は,神戸市から芦屋市,宝塚市までの地域を縮尺1万分の1の21図葉でカバーしている。前回の震災後緊急に作成された災害現況図(1月26日作成)に,現地調査結果及び兵庫県をはじめとする関係各機関の資料等の情報を加えて作成された。

4月30日 地球観測データ配信システムを導入

 現在,国土地理院では宇宙開発事業団と「人工衛星データによる国土の地理情報の把握等」に関する共同研究を実施している。その一環として平成7年3月に地球観測データ配信システムが導入された。地球観測データ配信システムは,地球観測衛星(ランドサット衛星等)から送られてくるリモートセンシングデータクイックルック動画と一般配布用の地球観測衛星データを,通信衛星を介し,宇宙開発事業団の地球観測センターからつくばの国土地理院地球観測データ解析室にデータを転送するシステムである。地球環境のモニタリング等に活用される。

5月10日~11日 緊急測量調査訓練の実施

 緊急測量調査体制の一層の強化を図るため,昨年に引き続き5月10日~11日,静岡県御前崎周辺において水準測量等を行う訓練を実施した。この訓練では,定期的な測量や連続観測等で異常が認められた場合等を想定して,地殻変動の測量調査,災害現況に関する情報の収集等,必要な緊急測量調査が円滑かつ速やかに行われるようにすることを目的として実施された。

5月16日 阪神地区の地形図の緊急修正版を刊行

阪神・淡路大震災により変状の著しい範囲を表示した1万分の1地形図(21面)及び2万5千分の1地形図(10面)の緊急修正版を5月16日に刊行した。緊急修正版は「震災による変化の著しい範囲」を「網掛け」表示(家屋等は旧形状のまま)しているほか,道路等通常の経年変化部分についても修正を行っている。

5月19日 全国の地殻活動を監視するGPS連続観測施設等の予算認められる

 平成7年度第一次補正予算編成において,全国的な地殻変動観測施設の整備等の経費として9,453百万円の予算が認められた。内容は,GPS連続観測施設等,地震災害等の防止のための施設整備の設立として9,083百万円,また,阪神・淡路大震災の復旧復興のための測量経費として,370百万円である。

5月21日 測量士・測量士補試験の受験者増える

 全国の15都市18会場において,平成7年測量士・測量士補の国家試験を実施した。今年度の受験者数は,測量士3,294名(前年比20%増),測量士補23,317名(前年比9%増)であった。

5月22日 第115回地震予知連絡会の開催

 関東地方測量部において,第115回地震予知連絡会が開催された。兵庫県南部地震の余震及び周辺の地震活動について,関係機関から報告があり国土地理院からは,淡路島の東岸の水準測量の実施により,東浦町を中心に最大15cmの隆起があったことを報告した。この他,駿河湾北部の地震,新潟県北部の地震活動について報告があった。

5月27日 『測量と地図のフェスティバル'95』開催

 「測量の日」関連行事として恒例となった『測量と地図のフェスティバル'95』が,つくば市ノバホー  ル周辺で5月27日(土)に開催された。今年は,伊能忠敬生誕250年に当たることから,伊能図及び伊能忠敬の測量行程等を紹介したミニ地図展のほか,井上ひさし先生による特別講演が行われた。
 当日は天候にも恵まれ,ミニ地図展に1,693人,井上ひさし先生の講演会に約 500人の入場者があったほか,ウォクラリーに34チーム98人の参加者があった。

6月1日 第24回国土地理院技術研究発表会開催

 第24回国土地理院技術研究発表会が,6月1日(木)に新宿の安田生命ホールにおいて開催された。今 回の発表会では,阪神・淡路大震災に関連した課題を中心に9課題が発表された。また,NEC情報メディア研究所長の後藤敏先生による特別講演が行われた。そのほか,会場には震災地域のモザイク写真や災害現況図等の展示が行われ,553名の来場者があった。

6月5日 「測量の日」功労者4名に感謝状贈呈

 「測量の日」関連行事として功労者の表彰式が行われ,冨田弘平氏,上田倖弘氏,斎藤夏風氏,徳弘薫氏の方々に国土地理院長より感謝状と記念品が贈呈された。

6月7日 新十津川VLBI観測施設の運用開始

 北海道樺戸郡新十津川町の人工衛星・重力観測室にかねてより整備中であった VLBIの本格的運用を開始した。VLBI施設は,アンテナ部,データ記録再生処理部,原子時計から構成され,固定観測局としては鹿児島局に次いで2番目となる。運用開始に先だって観測施設前において,関係者の出席のもとに開所式が行われ,来賓代表及び院長による新施設の始動式の後,国土地理院長挨拶,北海道開発局長並びに町長よりの祝辞等が行われた。

6月8日 第22回日韓測地・地図協力会議開催

 大韓民国国立地理院において,議長(章国立地理院長)日本側代表者(土肥国土地理院企画部長他2名 )韓国側代表者(閔測地課長他2名)が出席し第22回日韓測地・地図協力会議が開催された。会議においては,(1)日韓両国における測地,地図作成技術及び事業に関する情報交換(2)今年度の技術協力(VLBI観測,GPS 連続観測,地図分野の技術者の交流,情報・資料の交換等を通じた協力基盤の醸成等)(3)将来計画(GPS衛星軌道観測の継続,グローバルな地殻変動観測,環境地図作成,小縮尺図の作成等)等について議論された。

6月12日 第37次南極観測隊員決定

 南極地域観測統合推進本部は,今秋出発する第37次南極観測隊員の49名を決定した。国土地理院からは ,地殻調査部観測課の木村勲技官が夏隊で11月14日から8年3月下旬まで参加し,昭和基地でのGPS連続観測を始めラングホブデ地区の基準点測量等を実施する。

6月15日 地震予知推進本部観測結果評価委員会開催

 地震予知推進本部(本部長は科学技術庁長官)に新たに設置された観測結果評価委員会(委員長は宮崎 大和元国土地理院長)が,6月15日に開催された。観測結果評価委員会は,観測データに基づき地震及び地殻変動の現状評価を行うこと等を任務としている。

6月15日 神戸市周辺のGPSによる機動連続観測を強化

 神戸市周辺15箇所にGPS機動連続観測施設を追加設置した。これによって,1月 29日と3月30日に設置  した5点と合わせて20点の観測点となり,余震活動の監視体制が強化された。

6月16日 地震防災対策特別措置法が公布される

 議員立法として国会で審議されていた地震防災対策特別措置法が成立し,6月 16日に公布された。この法律が施行されると,地震予知推進本部(昭和51年閣議決定により設置)は廃止され、この法律に基づく地震調査研究推進本部(本部長は科学技術庁長官)が新たに発足することとなる。
 これに伴い,地震予知推進本部に設置され,国土地理院が庶務を担当している観測結果評価委員会は,地震調査研究推進本部の地震調査委員会にその役割を引き継ぐことになる。

6月19日~8月27日 「環境地図セミナー」開始

 JICA集団研修の特設コース「環境地図セミナー」が6月19日に開始された。このコースは,国際協力に基づく広域的・統一規格の地球地図整備について,その意義及び技術的背景を理解するとともに,各国における測量行政施策に関する能力を高めることを目的としている。今回のセミナーには,5カ国から5名の課長級の研修員が参加し,8月27日まで講義,実習が行われた。

6月21日 新潟県北部地方でGPSによる機動連続観測を始める

 新潟県北部地方に4箇所のGPS機動連続観測施設を設置し,6月21日から観測を開始した。観測データは,つくばの国土地理院に電話回線で転送され,解析処理を行って余震活動の監視に活用される。

6月26日 ケニアC/Pに対する研修開始

 ケニア測量局ケニア測量地図学院の教官に対する国土地理院での研修が6月26 日から始まった。今回国土地理院に受け入れる研修員は,地図作成と地図複製担当の2名である。また,測地測量担当教官1名の研修が7月24日から,更に10 月18日からは学院の校長の研修がそれぞれ始まり,4人とも12月14日まで院内で研修を受ける。

6月28日~30日 全国測量技術大会'95開催

 全国測量技術大会'95が,6月28日から30日迄の3日間,東京流通センターを会場に開催された。この大会は,(社)日本測量協会他2団体の主催,建設省後援により,測量技術集会,応用測量技術研究発表会及び測量・設計システム展が行われ,国土地理院から,野々村参事官,堀野環境地理情報企画官の特別講演の他シンポジウムでの発表が行われた。