最終更新日:2024年12月27日

小型GNSS観測装置で捉えた令和6年能登半島地震の地震時・地震後の地殻変動

Coseismic and Post-seismic Deformation of the 2024 Noto Peninsula Earthquake Detected by Compact and Small GNSS Observation Instrument

著者

地理地殻活動研究センター 小林知勝・中川弘之・松尾功二・松本紗歩・服部晃久・ 宗包浩志・桑原將旗・宮本純一・加古考範・岩本健吾・岩田和美
測地部 古屋智秋・植田勲・多田直洋・畔柳将人・小川拓真

要旨及び本文

地理地殻活動研究センターでは,高密度のGNSS観測で詳細な地殻変動を把握するため,機動性に優れた小型のGNSS観測装置を開発してきた.開発した装置の地殻変動把握への適用可能性の検証のため,令和2年11月頃から活発な地震活動が継続していた石川県能登地方の珠洲市狼煙町に装置を設置し,観測を開始した.アンテナの設置状況や電力供給等の観測環境を様々に変えながら,近接するREGMOS(可搬型GNSS連続観測装置)の時系列データと比較検証したところ,両者整合する座標解が得られ,野外での自立した地殻変動観測が可能であることを確認した.本観測装置の設置期間中,令和5年5月5日に発生した気象庁マグニチュード(Mj)6.5の地震及び令和6年能登半島地震(Mj7.6)に伴う地震時地殻変動を検出した.REGMOSによる地震時変動と比較したところ,両地震とも数mm程度の差で一致した変動量が得られ,強震動下においても設置安定性に問題なく観測が実施できることを確認した.さらに,令和6年能登半島地震発生後,余効変動の観測を目的として,輪島市門前町鵜山,同市門前町道下,同市門前町赤神の3か所(観測点名はそれぞれ「七浦(しつら)」,「道下(とうげ)」,「赤神」)に小型GNSS観測装置を設置し,観測を開始した.その結果,令和6年1月21日から同年6月30日までの約半年間で数cmの沈降を観測した.一方,水平成分においては,「七浦」及び「道下」で約1.5cmの東向きの変動が,「赤神」では約1cmの南向きの変動が観測された.上下成分については,半島内の他の電子基準点と同様に沈降を示し,能登半島全体が沈降していることを明らかにする一方,水平成分においては,北陸地方とその周辺及び半島の南部で進行する北西方向の変位とは異なる変動を捉えた.余効変動の発生機構として,粘弾性緩和が重要な役割を果たしていることを示唆する結果を得た.


  本文[PDF:3,060KB]

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