最終更新日:2023年6月21日

空中写真フィルムから発生する酸性ガスの調査と対策の検討

Investigation of Acid Gas Generated from Aerial Photographic Films and Examination of the Countermeasures

著者

地理空間情報部  岩下沙綾・織部珠代・森今日子・中田昌吾・下地恒明・藤村英範

要旨及び本文

 国土地理院が保有する空中写真フィルムは,フィルム劣化現象の一種であるビネガーシンドロームが進行している可能性があり,適切に保管するためにこれまでも空調機器による温湿度環境の管理を実施していたところである.  保有する空中写真フィルムの種類が不明であったため,ビネガーシンドロームが発生する種類のフィルムがどれくらいあるのかを把握する調査を実施した.さらに,ビネガーシンドロームがどの程度進行しているかを把握するため,ビネガーシンドロームにより発生する酸性ガスの濃度を測定する調査を実施した.
 調査の結果,ビネガーシンドロームが発生する可能性があるトリアセチルセルロースフィルムは保有する空中写真フィルム全体の約 13%であった.また,それらの約 86%において,ビネガーシンドロームが急速に進行する濃度の酸性ガスが発生していることが明らかになった.さらに,本調査を実施する中で酸性ガスの発生以外にも変形や結晶化などの劣化現象が進んでいることも把握した.これらの劣化現象が進むと空中写真フィルムの利用が困難になる可能性があり,その具体例を示した.そのほか,一般的な対策方法を整理し,今後の対策についても検討した.その結果に基づき,酸性ガスを吸着する性能を持つ対策剤を投入した.

  本文[PDF:1,954KB]

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、以下のページからダウンロードしてください。