最終更新日:2024年6月24日

干渉SAR時系列解析プロトタイプシステムの開発(要旨)

著者

地理地殻活動研究センター   小林知勝・森下遊・山田晋也

要旨及び本文

 地盤変動の時間的推移を高い計測精度と空間解像度で検出することを目的として,干渉SAR時系列解析システムのプロトタイプを開発した.本研究開発では,干渉SAR時系列解析の計測精度を高めるために,植生,対流圏,電離圏の影響による誤差を低減するための技術開発を行い,システムに実装した.本システムの特徴として,1)Phase Linking法を組み込んだ位相最適化処理による植生の影響の低減,2)数値気象モデルを利用した対流圏起因の誤差の低減,3)Range Split-Spectrum法等による電離圏起因の誤差の低減,等が主に挙げられる.さらに本システムを実データに適用して,特に植生と電離圏の影響低減に関する各開発技術の効果を検証した.植生の影響低減に関しては,位相最適化処理によりPS点の少ない山間部においても,従来の手法より高い空間密度で計測点を取得することができ,局所変動の詳細な空間分布の検出に資することが期待される.電離圏の影響低減に関しては,Range Split-Spectrum法の適用による誤差低減効果が高く,従来用いられてきた時空間フィルタに依存せずに適切に変動を抽出できることが示された.本機能は,LバンドSARを利用したSAR干渉処理において,広域変動の観測に不可欠な技術となると期待される.また,本システムで計測される変動速度の精度を検証するために水準測量データとの比較を実施した.その結果,両者は高い相関を示し本事例の場合,水準測量との最大較差は6mm/yrであった.本システムの開発により,ALOS-2や2020年度打上げ予定の先進レーダ衛星(ALOS-4)のLバンドSARデータを用いた地盤変動の時間推移把握が高度化されることが期待される.

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