最終更新日:2024年6月24日

屋外3次元空間における高精度衛星測位の適用範囲拡大のための技術開発(要旨)

著者

測地観測センター  多田直洋・大中泰彦・宮川康平・酒井和紀・古屋智秋・鎌苅裕紀・山尾裕美・檜山洋平・畑中雄樹

要旨及び本文

 上空が建物等で遮られる都市部ビル街等で,GPSや準天頂衛星システム「みちびき」等のGNSSを用いて測位を行う際,上空を遮る建物等により反射・回折した品質の悪い信号(マルチパス)の影響を受け,測位精度が悪化してしまう.そこで国土地理院では,上空視界が開けておらず高精度衛星測位が困難な地域において,その適用範囲を拡大することを目的に,上空視界情報の利用及び測位信号の品質検定によりマルチパスの影響を取り除く手法の開発に取り組んできた.開発した手法は「上空写真法」,「ドップラー法」,「3次元建物法」及び「ドップラー速度法」である.
開発した各手法を神戸市内でのGNSS定点観測により検証した結果,上空視界が一定以上開けている場所において,得られる座標の精度が向上することを確認した.中でも上空視界情報を利用してマスクを作成し,衛星の選択を行う上空写真法と3次元建物法が効果的であった.マスクに求められる精度については,マスクにずれを与えて適用し,その効果が確保できるずれの範囲を評価した結果,全方位角平均で仰角のずれが15°程度以下ならば,概ねマスクの適用による測位結果の改善が期待できることがわかった.また,リアルタイム測位で実用性が高いと考えられた3次元建物法について,3次元建物情報からマスクを作成するのに必要な位置座標の推定を組み込むよう手法の改良を実施した.改良を踏まえ神戸市内においてリアルタイム測位を模した検証を行い,衛星可視率55%以上でマルチパス軽減手法の適用により測位結果は安定して改善した.これら評価結果から各手法の長所・短所を整理し,測位環境に応じた手法の適用指針としてまとめた.

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