最終更新日:2024年6月24日

地震時地盤災害推計システム(SGDAS)の妥当性の検証(要旨)

Validity Verification of the Seismic Ground Disaster Assessment System (SGDAS)

著者

地理地殻活動研究センター  中埜貴元・大野裕幸

要旨及び本文

 国土地理院では,地震発生後概ね15分以内に,斜面崩壊,地すべり,液状化といった地盤災害が発生した可能性を,震度と地形等の地理的特性との関係から自動的に予測・推計するシステム(SGDAS)を開発し(神谷ほか,2014),国土地理院内で運用している.この推計結果は,地震直後においてほとんど現地の被害情報が得られていない段階で,どこでどの程度の地盤災害が発生した可能性があるのかを把握する手がかりとなり,国土交通省の災害対策本部に提供されるとともに,国土地理院における空中写真撮影計画の立案等にも利用されている.
 SGDASによる推計結果は,過去の地震事例において一定水準の妥当性が確認されているが(神谷,2013),2016年4月16日1時25分頃に発生した熊本地方を震源とする地震の実被害例を用いてその妥当性を再検証した.その結果,斜面災害予測は実際の土砂崩壊発生箇所を概ねカバーできていたが,土砂崩壊が実際にはほとんど発生しなかった地域を過剰に予測したケースがあり,実際の災害対応での利用を想定すると予測アルゴリズムまたは脆弱な地質の評価への寄与方法を改良する必要があることが分かった.また,液状化予測においては見逃しが多発したが,予測アルゴリズム自体は実際の発生傾向と調和的であり,予測に使用する地形分類情報の高分解能化・細分化が必要であることが分かった.今後のSGDASの利活用の方向性も含めて,改良の必要性等の議論が必要と考える.

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